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 総務省の「住宅・土地統計調査」(平成20年版)によれば、日本の全住宅ストック5759万戸のうち757万戸は「空き家」だ。

 国内に建っている住宅の13%を占め、5年前の前回調査から0.9ポイント増えた。都道府県別で空き家率が最も高いのは山梨県の20.2%。すでに5軒に1軒が「空き家」という状況になっている。

 この山梨県で意外な話を聞いた。「空き家が足りなくて仕方がない」というのだ。「空き家」をどう処理するかに困っているものと予想して取材に行ったら、想像とは逆の話が飛び出してきた。

 話をしてくれたのは、県観光部観光振興課の渡井宏之さん。空き家を減らすための「空き家バンク」という制度を担当している。「空き家バンク」は空き家の売買や賃貸を希望する所有者からの申し込みを受け、市町村が居住希望者に紹介するシステムである。現在、富士河口湖町、山梨市など山梨県内の11市町村が実施している。 

 渡井さんは語る。「空き家が足りなくて困っている状態。居住希望者からの問い合わせは5000件以上あるのに、成約できたのは100件に過ぎない。登録物件の多くは短期間のうちに住まい手が付いている。潜在的な需要はあるが、それに応えられていない」。バンクに登録すれば成約する住宅が多いのに、登録すべき空き家が出てこないのが悩みなのだ。

 この状況を打破するために山梨県は「やまなし二地域居住推進協議会」という組織を立ち上げた。工務店、設計事務所、不動産会社のほか、金融機関やセキュリティー会社など50社以上の企業と24市町村が会員となる。渡井さんは「見ず知らずの人に売ったり貸したりすることに不安を感じている家主も多い。単なる物件仲介ではなく、入居後までサポートする体制を整えることで、所有者側の動きも後押ししたい」と話す。

 住宅は余っている。住みたい人もいる。それなのに両者がつながらない──需給のミスマッチを橋渡しするには、ていねいな掘り起こしと、生活面まで含めたきめ細かな後押しが欠かせない。潜在需要を動かすキーワードは「住生活サポート」だろう。家余りの時代に地域の住宅会社が新しい仕事を切り開くヒントでもあると思う。