PR

割れはすべていけないか

 二つ目は、ムク材の割れをどうとらえているか。

 そもそも高温セット法は、材の表面にできる割れを防ぐために開発された。黒田さんは、「昔ながらの天然乾燥ではムク材の表面割れを防ぐのは難しく、かつてはムク材に表面割れが生じていることは普通だった」と話す。 

 ところが、1990年代以降、住宅のつくり手や住まい手が表面割れを嫌うようになり、住宅品質確保促進法で構造材の一定幅以上の割れが瑕疵の対象になったことで、表面割れを防ぐ高温セット法が一気に普及した。

 ただし、高温セット法で乾燥スケジュールをきちんと守った場合でも、内部割れを完全になくすのは難しいようだ。木材は樹種や個体によるばらつきが多く、同じ窯や工程で乾燥しても均一になりにくい。そのため、同一の乾燥スケジュールでも、ある材は内部割れを生じていないのに、別の材では生じることがあるからだ。 

 表面割れも内部割れも、生じないほうがいい。しかし、個体差が大きいムク材にそれを追求しすぎると、思いがけないリスクが生じたり、コストが高くなったりする可能性が高まる。

 割れによる強度低下は気になるが、「これまでの実験結果では、表面割れも内部割れも、極端でなければ強度に無関係だ」(黒田さん)という。

 昔の大工は、最初から背割りを入れて使うなど、割れと向き合って木材を使っていた。いまの住宅のつくり手と住まい手が、どこまで材の割れを許容し、どうやって割れを見込んだ使い方をしているか知りたい。

 日経ホームビルダー10月号では、高温乾燥材はもちろん、木材全般に関する疑問や不安に答える記事を予定している。そのためのアンケート【リフォーム設計・施工の実態は? 木材に対する疑問や悩みは?】を実施する。記者の問いかけに対する回答など、木材に関する様々な意見を、ぜひともお聞かせいただきたい。