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世界で出遅れるCASBEE

 CASBEEは、環境性能をエネルギー消費といった単純な負荷だけでなく、建物の品質という視点も加味して評価する指標だ。日本の建築界の第一線で活躍する実務者や学者たちが、心血を注いでつくり上げた。今でも、国を挙げてCASBEEの改善や普及を図っている。

 だが、このCASBEEに対する海外のデベロッパーなどの評価は手厳しかった。例えば、2005年に環境ビルの指標であるグリーンマークの制度を運用し始めたシンガポール。同国の大手デベロッパー、シティーデベロップメンツでゼネラルマネジャーを務め、グリーンマーク制度の制定経緯をよく知るエディー・ワン氏はこう説明する。

 「グリーンマーク制度の構築に当たって参考にしたのは、米国のLEED(リード)やオーストラリアのグリーンスターの制度。これらを基に、熱帯地域で水資源が限られているシンガポールに適した仕組みをつくった。日本のCASBEEも参考にしようとしたが、難しかった。複雑すぎて使いにくいからだ」

シンガポールの大手デベロッパー、シティーデベロップメンツでゼネラルマネジャーを務めるエディー・ワン氏(写真:日経アーキテクチュア)
シンガポールの大手デベロッパー、シティーデベロップメンツでゼネラルマネジャーを務めるエディー・ワン氏(写真:日経アーキテクチュア)

 建物の環境性能評価などを手掛けるイー・アール・エス(東京都港区)グリーンビル研究チームの伊藤健司マネージャーは、CASBEEの課題を次のように補足する。「評価項目が細かいだけでなく、基準にあいまいな部分もある。こうした部分は、評価理由を示すための資料が膨大になりやすく、発注者側にとって手間が増すことになる」

 欧米の企業から日本国内の建設工事におけるPM業務などの依頼を受けるボヴィス・レンドリース・ジャパン。同社のアンドリュー・ガウチ社長は、「欧米企業が発注者となる事業ではLEEDでの評価を求めることが多い。投資家が求めるからだ」と話す。