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無視された建築関係の資格


 “会社員や経営者”といった抽象的なもの以外で挙げられた具体的な職業や資格は約30に上る。なかでも妙にリアルだったのが、「社労士」「裁判官」「検事」「フィナンシャルプランナー」「アナウンサー」「ツアーコンダクター」「派遣社員」「神主」「僧侶」「牧師」「塾の経営者」「学校・幼稚園の先生」「保育士」「牧場経営」「植木職人」「自衛官」「薬害被害者」──それがだれか、政界通ならほぼ特定できてしまいそうだ。

 「あなたの投票に期待していますからね」「先日の電話でこちらに約束されたことを覚えていますからね」という無言の圧力をかけるため、本人やその周辺ならすぐ分かるだろう職業や資格を、菅氏は意図的に挙げたのではないだろうか。自分の経歴を指摘された議員のなかには、“私は小沢氏支持なのになぜ呼ばれるのか?”といぶかりながら、次の瞬間、列挙された“仲間”の議員の本心が気になって疑心暗鬼に陥った人もいたかもしれない。権謀術数が渦巻く政治の場を生き抜いてきた、いかにも菅氏らしいやり方だ──なんて書いたら深読みしすぎだろうか。

 政治記者ではない筆者がそれよりも残念でならないのは、菅演説のなかに建築関係の資格や職業が一つも出てこなかったことだ。演説に出てきたサムライ(士)の付く国家資格(師も含む)は合計で12あった。出てきた順番に並べると、弁護士、公認会計士、税理士、社労士、司法書士、行政書士、気象予報士、医師、歯科医師、看護師、薬剤師、保育士──そこには「建築士」のケの字も出てこなかった。

 「建築士」だけではない。「建築設備士」「建築施工管理技士」「土木施工管理技士」「技術士」「宅地建物取引主任者」「マンション管理士」なども出てこなかった。また業種では「林業」や「農業」は出てくるのに「建設業」は出てこなかった。民主党には建築士の資格を持つ国会議員もいるのだが、徹頭徹尾、建築関係の資格や職業は無視されていた。