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大阪まで延伸できるのか

 「もっと早く大阪まで開通させるべきだ」「名古屋までで打ち止めになるのではないか」――。大阪までの延伸を名古屋開業の18年後としたJR東海の計画を巡り、関係者の間でも様々な思いが交錯している。

 JR東海が描く資金計画はこうだ。建設費の原資には、新幹線の収益を充てる。名古屋までの建設で一時的に経営体力が落ち、その後18年かけて回復させて大阪までの全通に漕ぎつける。もし景気悪化で収益が減った場合は、借金を増やすのではなく完成を遅らせるという、時間軸での調整を行う――。現状の計画では、名古屋までが2027年、大阪までは2045年としているものの、延期する可能性がある。当初は名古屋までの完成目標は2025年と表明していた。

 名古屋までの部分開業ではインパクトに欠けるだけでなく、実際の時短効果も限られる。リニア新幹線のホームは大深度地下への建設が想定されており、地上の既存ホームとの乗り換えに時間がかかるからだ。

 例えば、品川から新大阪までの所要時間をみてみる。東海道新幹線では2時間26分だ。リニア新幹線なら名古屋まで40分、仮に15分後の東海道新幹線に乗り換えるとすれば、名古屋-新大阪間が50分なので、計1時間45分になる。東海道新幹線だけの利用より41分速い。東京から新大阪までは、東海道新幹線では2時間33分だ。品川・名古屋とも15分後の列車に乗り換えるとすれば、東京-品川が京浜東北線快速で9分なので、リニア新幹線を利用した場合の所要時間は計2時間9分となる。東海道新幹線だけを利用した場合との差は24分まで縮まる。

 しかも、東海道新幹線にはさらなるスピードアップの構想がある。JR東海の葛西敬之会長は2009年11月の講演会で、導入が進む最新車両「N700系」にすべて置き換わった際に、最高速度を引き上げる考えを明らかにしている。現行の時速270キロを300キロにして、所要時間を数分短縮する。N700系車両は加速に優れるなど、余力が大きい。

 需要を増やすためにも大阪までの早期開通が必要だとの意見は多い。JR東海が鉄道による収益以外に資金を調達する手段として、リニア新幹線のための基金を立ち上げたり、海外から投資を呼び込んだりすべきではないかとのアイデアが寄せられた。

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 そのほか、さらなるコストダウンや海外への売り込みなど多岐にわたる論点が提示された。審議会は次回以降、後半戦に入る。秋から冬にかけて中間取りまとめを公表し、来年春を目標に答申をまとめる予定だ。