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 「同じポジションには2年間くらいいないと、しっかりとした仕事の成果を出すまでには至らないと思っている」

 9月17日、前原誠司氏は国土交通大臣退任の記者会見でこう述べた。政策が実行に移されて成果が出るまでには時間がかかる。現実は発言とおりかもしれないが、「2年も待っていられない」というのが多くの国民の思いではないか。読者の反応や最近の報道に接して、そう感じるようになった。

 ケンプラッツが9月に実施した、発足後1年を経過した民主党政権に対するアンケートの調査結果は、「満足」13%に対して「不満」87%。1年前の政権発足直後の調査では、「期待」(68%)が「不安」(32%)を大きく上回っていた。期待が失望に変わりつつあるようにみえる。

 9月28日、国税庁は2009年分の民間給与実態統計調査の結果を発表した。調査対象は従業員1人から5000人以上の事業所と幅広い。主要業種の一人当たりの平均年間給与は、以下のようになっている。

・建設業:433万円(前年比▲11万円)
・不動産業・物品賃貸業:389万円(前年比△12万円)
・電気・ガス・熱供給・水道業:630万円(前年比▲45万円)
・全体平均:406万円(前年比▲24万円)

 不動産業・物品賃貸業は前年比プラス12万円の389万円だが、建設業は前年比マイナス11万円の433万円。全体平均ではマイナス24万円だ。過去にない大幅な下落である。

 ケンプラッツが9月27日に掲載した「建設・不動産150社給与」の記事では、平均年間給与が前期比マイナスとなった企業が約4分の3を占めた。こちらは国税庁の調査と異なり、従業員数の多い企業を対象としている。うち建設会社50社の平均年間給与は656万円。前期の実績を20万円下回った。

 経済が成長し、消費できるお金が増えている状況であれば、「変化」を待てる時間は長いのだろう。ところが今はそうではない。09年の給与実績の多くが政権交代前の企業業績の反映だとしても、民主党政権に対する厳しい評価の背景には、給与減による生活圧迫の現実があるに違いない。

 前原氏の改革は、馬淵澄夫新大臣に引き継がれた。

 就任会見で馬淵氏は「前原前大臣のリーダーシップの下に、政務三役が一丸となって取り組んだ成果が、公共事業の削減だ。事業評価の検証、事業評価の方法の見直し、恣意的な裁量行政を減らし、無駄を削減するといった取り組みは、一歩一歩着実に成果を上げている」と語った。

 しかし、政治の評価は身内ではなく第三者が下すものである。1年目が改革に向けての助走の年だと黙って受け止めた人も、2年目以降は成果を求めるだろう。その成果は、給与をはじめとする待遇が改善して、多くの人が実感できるようになるのだと思う。実感はまだ先でも、せめて明るい兆しがほしい。