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 「取材をすればするほど、住宅からだんだん離れていく気がする」──。いわゆるスマートハウスの取材を進めている編集部の記者が、ポツリともらした言葉だ。

 これは単体の住宅では完結しない“広がり”が出てきている証だろう。スマートハウスを解説する文章ではこんなものもあった。「スマートグリッドの川下で末端となる戸建て住宅の進化は、環境技術を成長分野に位置づける日本の産業界全体にとって重要な意味をもつ」。

 ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)、リチウムイオン蓄電池など耳になじみのなかった新技術がどんどん流れ込み、住宅は予想を上回る速度でつながり始めているようにみえる。

 「最近の住宅分野に参入する企業動向を見ていると、住宅はもはや人の入れ物だけではなくなった感がある。住まい手と社会をつなぐデバイスになるかもしれない」とは同記者の実感である。

 ここには新しいビジネスチャンスがある一方で、変化をとらえられない企業や産業は、思いもしないような速さで主役の座を追われかねない。

 東京大学生産技術研究所の野城智也所長は「グーグルのような会社が住宅産業の競争相手になる可能性がある。住宅供給産業から住生活価値提供産業へ、プロダクトからサービスへと意識を転換する必要に迫られているが、産業側にはその危機感が薄い」と警鐘を鳴らす。

 精魂を込めてつくった住宅が、どう使われるかを見通すことは、役立つ家づくりに不可欠だ。見えないところで急速にネットワーク化が進む住宅の将来像や足元の大きなうねりに目を向けてほしい。目先の制度変化など「ハードとしての住宅への対応」に追われているうちに、多くの住宅会社が取り残されてしまうのではないかという心配が浮かんで仕方ない。