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 複数のサッシメーカーが防火性能の不足しているアルミ樹脂複合サッシを販売していたことが問題になっている。昨年10月6日に三協立山アルミ、今年1月28日にトステムで大臣認定違反が発覚したが、今頃になって大畠章宏・国土交通大臣が大騒ぎしている。

 サッシの防火性能は業界団体のカーテンウォール・防火開口部協会(カ・防協)が会員メーカーを代表して大臣認定を一括で取得。カ・防協は会員メーカーから申請された製品を審査し、大臣認定仕様に適合しているかどうかを独自に判断してきた。(詳細は「大臣認定違反、国交相が制度運用の不備認める」を参照)

 今回の問題は不燃材や耐火構造、樹脂サッシで発覚したような大臣認定の不正取得ではない。サッシメーカーは認定を通したカ・防協を非難している。大畠大臣も2月18日の記者会見でカ・防協幹部の責任を厳しく追及した。

 現在、カ・防協だけが集中砲火を浴びている格好だ。しかしカ・防協の正会員にはサッシメーカーが、そして役員にはそれらの社長や会長が名を連ねている。カ・防協とサッシメーカーは表裏一体と見なしておかしくないだろう。

 カ・防協の行ってきた大臣認定にかかわる作業に疑義があるのなら、会員であるサッシメーカーも承知していたと考えられる。それを正さずに一方的にカ・防協を非難するのはプロフェッショナルとしていかがなものか。大畠大臣や国交省もこれまで違反を見過ごしてきた自らの責任をどう考えているのか。誰も責任を取ろうとしない構図になっている。

「20分間」の意味

 建築基準法施行令109条の2では、「通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないもの」と、防火設備(防火戸)の技術的基準を規定している。今回、認定違反が発覚した三協立山アルミ「マディオJ 引き窓」やトステム「シンフォニー 引き窓」は規定の半分程度の時間で炎が燃え抜けた。

 一連のケンプラッツの記事を読んだ読者のコメントにもあったが、そもそも大臣認定の技術的基準を満たさない製品が流通して何か大問題になっているのだろうか。トステムの発表資料によると、該当製品を原因とする被害事例はないという。また、法令が制定された当時と現在とでは建築技術や建材の防火性能、使用する設備機器、住まい方などが大きく変わっている。今回の問題を受けて大畠大臣は国交省に大臣認定制度の運用の見直しを指示したが、加えて最近の火災の実態を検証し、防火戸の評価性能試験の内容自体を考え直すことも必要ではないだろうか。

 なかでも施行令にある「20分間」は絶対視せず、根拠の妥当性を再検討すべきだと思う。「20分間」の意味を誰も考えなくなったら、サッシメーカーは認定を通すことが、設計者や施工者は認定品を採用することが最優先課題になり、その背後にある性能や技術に対する思考停止を招きかねない。露呈した大臣認定制度の不備を取り繕おうとするあまり、建築・住宅業界から創意工夫が失われることを最も危惧する。