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顧客の興味を引くのに有効

 無事にテスト走行を終えた手づくりの点検メカ。だが、全てがうまくいった訳ではなかった。今回の成果と、見えてきた課題をまとめてみよう。まずは、成果。主に以下のことが考えられる。

成果
  • ・点検口などからのぞき込み目視しただけ、または、デジカメで撮影しただけでは見えない部分も確認できた
  • ・簡易ではあるが、問題箇所の有無を確認することができた
  • ・2万円程度という低予算で製作できた
  • ・自分がもぐるのはおっくうな床下の点検をゲーム感覚で実施できるので、床下点検のよいきっかけづくりになった

 そして、課題。リポートの内容では触れなかったこともあるが、主に次のことなどが挙げられる。

課題
  • ・コントローラーの電波が届かなくなる可能性があるので、行動範囲は限られる
  • ・カメラが写す範囲が狭く、大引きなど上部にある部位などの様子は確認しにくい
  • ・撮影対象物に近付き過ぎると、LEDライトの光が強すぎて様子が見えなくなる
  • ・パソコンに写っている映像だけでは、点検メカがどちらの方向に向かって進んでいるのか、現在地がどこなのか分からなくなる
  • ・写っている映像だけで劣化や問題の有無を判断するのは難しい。最終的には、床下に潜って人が目視するのが確実
  • ・小型のカメラやLEDライトなどが剥がれ落ちる可能性があり、そのような緊急時に回収する手段を講じていない
  • ・床下でメカが立ち往生してしまった場合、人が床下に潜って回収することを想定しておく必要がある

 これらの課題については、いずれ機会があれば対策などを考えて、再度チャレンジしてみたい。

 今回の挑戦を通して感じたのは、プロ仕様の点検ロボットと、手づくりの点検メカの間にある性能の違いだった。ロボットを使って点検のほとんどをカバーするのであれば、大和ハウス工業の「moogle」日立アドバンストデジタルの「点検支援ロボット(HV-YT10)」といった、プロ仕様の床下点検ロボットにはかなわない。価格が100倍近くの差だけのことはある。本格的に点検の補助器具として使うのであれば、専用の点検メカを導入した方がよいだろう。

 では、このように安価でお手軽な床下点検メカをつくることに意味はないのだろうか。筆者は、「ある」と考える。このような簡易な機器を使っての行動は、床下での点検作業の「見える化」であると感じたからだ。まずはこのような機器を使って、床下の状況を住まい手に見せながら説明し、その後、実際に床下に潜ってさらに詳しい調査をする。この流れが、住まい手が抱きがちな「いったい何をやっているのか」といった不安を払拭し、逆に興味を持ってもらう――。こういった効果は期待できるからだ。

 「こんな子供だまし的なもの」と笑う人もいるかもしれない。だが、それをきっかけに、住宅に対する点検・メンテナンス意識が住まい手に生まれるのであれば、その意識の芽は大事にしたいものだ。

大和ハウス工業の狭小空間点検ロボット「moogle」(写真:大和ハウス工業)
大和ハウス工業の狭小空間点検ロボット「moogle」(写真:大和ハウス工業)
日立アドバンストデジタルの点検支援ロボット「HV-YT10」(写真:日立アドバンストデジタル)
日立アドバンストデジタルの点検支援ロボット「HV-YT10」(写真:日立アドバンストデジタル)