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ファシリティマネジメント(FM)は経営組織とその事業にどんなメリットをもたらすのか、導入にはどんな課題があるのか――。経営の一環として革新的なオフィス環境を実現しているシグマクシスの倉重会長兼社長、FMの推進機関である日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)の坂本会長、総合的なFMサービスの供給会社であるイオンディライトの中山社長が、それぞれの立場で「これからのFM」について語り合う。

東京・虎ノ門にあるシグマクシスの執務スペースにて(写真:中村 宏)
東京・虎ノ門にあるシグマクシスの執務スペースにて(写真:中村 宏)

――最初に、シグマクシスのFMの取り組みをお聞かせください。

倉重 私自身はFMをやっているつもりはないんです。会社を経営していくのに必要なお金、人といった資源と合わせ、建物やオフィス環境などのファシリティを結果的にマネジメントしているのだと思います。

 当社は、創造性を発揮できる環境とするために、「出会い」と「刺激」をベースにオフィスを考えてきました。仕切りをつくらず、机も固定しない完全フリーアドレスとしています。また情報技術を徹底的に使いこなし、いつでもどこでも誰とでもネットを介して仕事ができる環境としました。結果として社員1人当たり4m2未満のスペースで済み、日本企業の標準の3分の1程度のスペースで運営しています(4ページ参照)。しかし、ご覧いただいたように混み合ったりはせず、ゆったりした環境になっています。

 コンサルティング業ですから、気持ちのいいオフィスで社員が創造性を発揮できれば、顧客の満足度につながり、最終的には利益増につながるという考え方です。「人財」を支える情報技術や「ライフ・ワーク・バランス」のサポートといった制度まで含め、ファシリティなんだと思います。

 私は、CEO(最高経営責任者)の仕事は3つしかないと考えています。会社のビジョンを設定する、社員が働きやすい環境をつくる、困っている社員を助ける──それだけです。社員が最高のパフォーマンスを出せる環境を整えることが大切なんです。

 日本語ではマネジメントを「管理」と訳すことが多いようですが、本来は「活用する」という意味合いの強い言葉です。ここしばらく、日本の企業はコスト削減に集中してきました。売上が伸び悩むなかで利益を増やそうとするから、ファシリティは小さくしろという考え方ばかりでした。しかし、活用するという視点を持つならば、逆にファシリティを足すことによって売上増につなげるという発想もあり得るはずです。

坂本 FMを理解する大変さの一つは、まさに今の倉重さんのお話に通じます。JFMAの最優秀FM賞で表彰した方なのに、「FMはやっていない」とおっしゃる(笑)。実際に、FMに相当する取り組みで成果を上げている組織が、JFMAが思想として持つFMの理論を実践しているかというと必ずしもそれらは一致するものではないんです。

 例えば、やはり最優秀FM賞を受賞している倉敷中央病院も、FMの理論を勉強したわけではなく、創立者である大原孫三郎さんと大原總一郎さんの頃から脈々と顧客や従業員に配慮した経営を続け、それが素晴らしいFMにつながっています。倉重さんのような開明的なトップのマネジメントが、結果としてFMの本質にかなっていたという事例は多いはずです。

 一方、私たちJFMAが進めようとしているのは、いつでもどこでも誰でもできるFMの普及です。企業でも地方自治体でも、組織が硬直的になってしまい、容易にはFMが進まない一面があります。そういう場合でも取り組みやすくなるよう、推進体制や業務内容、手法などを体系化してきました。

中山 JFMAはFMを「第4の経営基盤」と位置付けていますね。イオンディライトはFMの供給側として、企業ごとの経営課題に対応して提案できる力が重要だと認識しています。総合性を持ち、FMに関するソリューションビジネスを担いたいと考えています。

 イオンモールなどの展開に伴い、グループ会社としてそのFMを担う立場の当社は、日本各地に加えて中国やASEAN(東南アジア諸国連合)にも業務を拡大しています。グループ以外の業務も多く、一口にFMといっても一筋縄にはいかないので、メニューを多様に用意しています。

 倉重さんがおっしゃるように、旧来はコストカット一辺倒の企業の要望にいかに応じるかが、FMを供給する側の使命でした。しかし、パラダイムが変わりつつあります。当社は、ビルメンテナンスと言われる設備管理、清掃、警備に加えて自動販売機や資材関係のサービスまで提供していますが、もはや単品のサービスだけを提案しても受け入れてもらえる時代ではありません。まさにソリューションが求められているんです。