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太陽光発電はあえて不採用

 同社では「胡桃の家」に限らず、暖房給湯設備は北国の過酷な使用状況とメンテナンス性を重視してできるだけシンプルに計画してきた。暖房には輻射熱暖房を推奨し、都市ガスエリアならエコジョーズ、灯油なら高効率減圧式給湯器が標準だ。

 1次エネルギー消費量を太陽光発電などの創エネで相殺する設計は、あえて行っていない。イニシャルコストとランニングコストのバランスを考慮し、創エネ設備は環境問題に熱心な建て主以外には勧めていない。

 「ライフスタイルの充実こそ住宅のロングライフを実現し、ひいては環境負荷軽減につながると考えている」と草野氏は語る。そのため、同社のカタログはデザイン提案が中心で、性能や創エネ提案をうたう表現やデータ掲載はしていない。

 「当社を訪れる建て主の多くは、自身のライフスタイルの明解なビジョンを持っている。その実現のため眺望や採光のための大きな開口を設けるデザイン例が多い。ただ、寒さが厳しい北海道ではデザイン性の高さと同時に開口からの熱損失の問題も考えなければならない」(草野氏)

 ケント・ハウスでは、将来の省エネ基準準拠の義務化に向け、「胡桃の家」のデータをベンチマークに、標準的な断熱仕様などこれからの設計仕様を検証中だ。

吹き抜け階段から見たキッチンとリビング。開口部下部には温熱ヒーターを配してコールドドラフトを制御する(写真:ケント・ハウス)
吹き抜け階段から見たキッチンとリビング。開口部下部には温熱ヒーターを配してコールドドラフトを制御する(写真:ケント・ハウス)

ウオールナットの突板で造作されたキッチン。建具と造作家具は基本的にオリジナルでデザインする。照明は納戸以外はLEDを採用した(写真:ケント・ハウス)
ウオールナットの突板で造作されたキッチン。建具と造作家具は基本的にオリジナルでデザインする。照明は納戸以外はLEDを採用した(写真:ケント・ハウス)

「胡桃の家」の建築概要

  • 所在地:北海道札幌市豊平区
  • 地域:第一種中高層住居専用地域
  • 敷地面積:300.00m2
  • 建築面積:117.18m2
  • 延べ面積:195.59m2
  • 構造・階数:木造在来工法、地上2階建て
  • 設計者:ケント・ハウス 草野広宣
  • 竣工:2013年7月

主な環境配慮仕様と設備

設備
  • 暖房:温水暖房用パネルラジエーター(PS HRヒータ/ピーエス)
  • 換気:第三種換気設備(パナソニック)
  • 給湯:潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ/ノーリツ)
  • 照明:LED照明(大光電機、パナソニックほか)
  • 冷房:設置なし
断熱材
  • 屋根:吹き込み用グラスウール13K t=300
  • 外壁:グラスウール断熱材 t=105+t=25 北面/グラスウール断熱材 t=105+t=45 東北面/グラスウール断熱材 t=105+t=105+t=45
  • 床:グラスウール断熱材 t=105+t=25(いずれも高性能16K=24K相当)
開口部
  • 開口部:樹脂サッシ(YKKAP)+日射取得型Low-E複層ガラス 中庭側大開口:アルミ樹脂複合サッシ(LIXIL)+日射取得型Low-E複層ガラス

低炭素住宅のデータ

  • 省エネルギー基準地域区分1地区
  • その他の低炭素化に資する措置 木造住宅・節水対策
  • 外皮平均熱貫流率UA値(W/m2K)0.44(基準値0.46)
  • (参考)平均日射熱取得率ηA値 3.4(地域区分2の札幌市は基準なし)
  • 1次エネルギー消費量(GJ/年)182.5(基準値218.6)