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 設計者や施工者は、免震偽装のトラブルを事前に回避できなかったか――。国土交通大臣認定の性能評価基準に適合しない免震部材を東洋ゴム工業が使用していた問題は、建築専門家が果たすべき役割や責任範囲を考え直す契機になった。

 今回の免震偽装事件では、東洋ゴム工業の子会社の社員が、免震部材の性能ばらつきを許容範囲に収まるようにデータを改ざんしたと言われる。具体的には、実験用の振動数(0.015Hz)を地震想定の振動数(0.5Hz)に換算するときの補正係数に手を加えた。こうしたデータの不正を、設計者や施工者が発見することは難しい。今回の事件で「設計者や施工者に責任はない」とする意見が多いのはそのためだ。

大臣認定の不正取得が判明した東洋ゴム工業製の高減衰積層ゴム(写真:日経アーキテクチュア)
大臣認定の不正取得が判明した東洋ゴム工業製の高減衰積層ゴム(写真:日経アーキテクチュア)

 しかし、本当にトラブルを回避する方法はなかっただろうか。免震部材には、問題となった高減衰積層ゴムだけでなく、天然ゴム系積層ゴム、鉛プラグ入り積層ゴム、弾性すべり支承などさまざまな選択肢がある。それらの幅広い選択肢から東洋ゴム工業の高減衰積層ゴムを選定したプロセスを再度検証し、改めてリスク回避の可能性を考えてみることは重要だ。

 また、大臣認定制度のあり方を議論する必要もある。認定制度は、メーカーとの信頼関係で成立しており、免震部材のような高度な技術であるほど、性善説に依存する比重が高まる。国交省がメーカーのデータ改ざんを見抜くことは難しく、今後も同種の事件が再発する可能性がある。しかし、やみくもに認定基準を厳しくすると、認定の取得までに時間がかかり、事業者に悪影響を及ぼす。制度を見直すことは容易ではない。

 日経アーキテクチュアでは、建築関係者を対象に4月22日まで緊急アンケート調査を実施している。建築材料の選定における建築専門家の責任範囲、トラブル回避のための工夫、大臣認定制度の見直しなどについて尋ねる内容だ。集計結果は統計処理をした後、日経アーキテクチュア(5月10日号)やケンプラッツに掲載する予定だ。

「免震偽装問題の影響に関する調査」のアンケートは[こちら]から。ぜひ、ご協力ください。