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「地元で買いたい」

 個人的な話で恐縮だが、休日に高2の娘と渋谷に出かけたことがある。娘は、用事が終わるとすぐに「帰ろう」と言う。地元に戻って買い物をしたいらしい。娘は渋谷で買い物をすることに、全く興味を持っていない。都心には、郊外にない店がたくさんあって、スペシャルな気持ちでワクワクしながら買い物をしたがるものだと思っていたのだが…。

 インフラが成熟した郊外で生まれ育った娘は、都心への憧れを持ち合わせていないようだ。渋谷近辺の高級住宅街を歩いていて、「こんなところに住みたいね」と話しかけても、「ないないー」と言われてしまった。

 イマドキの若い世代は、「都心で買い物をする」「都心に住む」といったことに、なんら価値を見いだしていないのかもしれない。高度成長期に生まれ育った我々親世代とは、モノやコトに対する価値観が大きく違うように感じる。

渋谷駅前のスクランブル交差点の夜景。渋谷センター街によると、渋谷駅から渋谷センター街への来街者は、平日で約5万人、休日で約7万人に上る(写真:ケンプラッツ)
渋谷駅前のスクランブル交差点の夜景。渋谷センター街によると、渋谷駅から渋谷センター街への来街者は、平日で約5万人、休日で約7万人に上る(写真:ケンプラッツ)

 街が均質化していくと多様性が失われて魅力がなくなる。何時間もかけて電車に乗って地方にやって来たのに、どこかで見たことのある「ミニ東京」の街並みが駅前に広がっているとがっかりする。

 街を歩いても、大手ブランドチェーンのコンビニエンスストアやファミリーレストラン、ファストフード店、居酒屋だらけではつまらない。そうした魅力のなさが、地方都市から人口を奪う原因の一つになっているのだと思う。

 中心市街地の商店街が衰退し、ショッピングセンターに依存している地方は少なくない。その中で、頼みの綱であるショッピングセンターがどんどん均質化していくことに危機感を覚える。

 はたして、均質化するショッピングセンターに消費者も飽きてきたのではないだろうか。実際、二子玉川ライズでも、どこでも見かける店は人出がまばらで、日本初出店やショッピングセンター初出店などをアピールする「初モノ」の店には長い行列が出来ていた。

 郊外で生まれ育った娘のような“ナチュラル郊外世代”は、郊外にネガティブなイメージを持っていない。彼女ら若い世代が、郊外の消滅可能性を吹き飛ばしてくれることを期待したい。願わくは、大手ブランドチェーンばかりのミニ東京ではなく、独自の文化を持つ自立した郊外に育ててほしい。

二子玉川ライズ・ショッピングセンター・テラスマーケットのオープン当日、日本初出店のスペイン王室御用達グルメストア「マヨルカ」、ショッピングセンター初出店の米国シアトルのシナモンロール専門店「シナボン」などは長い行列が出来ていた。5月3日には、開業第2弾として、カルチュア・コンビニエンス・クラブの生活提案型の家電店「二子玉川 蔦屋家電」がオープンする(写真:ケンプラッツ)
二子玉川ライズ・ショッピングセンター・テラスマーケットのオープン当日、日本初出店のスペイン王室御用達グルメストア「マヨルカ」、ショッピングセンター初出店の米国シアトルのシナモンロール専門店「シナボン」などは長い行列が出来ていた。5月3日には、開業第2弾として、カルチュア・コンビニエンス・クラブの生活提案型の家電店「二子玉川 蔦屋家電」がオープンする(写真:ケンプラッツ)