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 デジタル化したネットワーク社会では、ネットの向こう側に圧倒的な付加価値があります。そのため、物理的なマテリアルのデザインも、「向こう側」を主軸に考えていく時代になってきています。

 典型的な例がスマートフォンです。スマートフォンは、電話としては使いにくい。ネットの向こう側の情報を取り出すためのインターフェースとして最適化するために考えられたデザインだからです。だから、電話機能がない情報端末「iPod touch」と、スマートフォンの「iPhone」はほとんど同じデザインですよね。

ハードは最後にデザインする

 スマートフォンはおそらく、まずネットワークとソフトウエアが設計され、そこからインターフェースが設計され、最後にマテリアル部分がデザインされています。

 空間や都市も、同様にネットワークやソフトウエアに付随してハードを設計していかなければ、本質的なイノベーションは生まれないのではないでしょうか。

 例えば、本の情報が全部デジタル化されれば、図書館という物理的な施設は必要ないですよね。 

 駅の自動改札も不要かもしれません。超高速化した改札機を開発するより、改札をなくしてしまったほうがいい。そうなれば空間だって違ったものになるはずです。

 今は、「図書館」のようなハードが先にあって、それをネットワーク社会にどう適応させようか、という発想で建物ができているように見えます。チームの組み方や考える順番を変えて、設計プロセスを変えなければ、モノと情報を分離して扱えるようになった今の社会に最適化した、新しい空間はつくれないと思います。(談)

【チームラボの作品例】チームラボハンガー。ハンガーに掛かった商品を手に取るとセンサーが作動し、その商品をコーディネートした写真などがディスプレーに映る。単体の写真よりもコーディネートした写真で商品を見せる方が圧倒的に売れる、というEコマースでの経験をヒントに生まれた(写真:チームラボ、2010-、インタラクティブハンガー)
【チームラボの作品例】チームラボハンガー。ハンガーに掛かった商品を手に取るとセンサーが作動し、その商品をコーディネートした写真などがディスプレーに映る。単体の写真よりもコーディネートした写真で商品を見せる方が圧倒的に売れる、というEコマースでの経験をヒントに生まれた(写真:チームラボ、2010-、インタラクティブハンガー)

【チームラボの作品例】メディアブロックチェア。凸面が3面、凹面が3面からなるキューブ型のブロック。組み合わせると光の色が変わる(写真:チームラボ、2012、LED、アクリル)
【チームラボの作品例】メディアブロックチェア。凸面が3面、凹面が3面からなるキューブ型のブロック。組み合わせると光の色が変わる(写真:チームラボ、2012、LED、アクリル)

【チームラボの作品例】東京スカイツリー1階の壁画(隅田川デジタル絵巻)。全長約40m、高さ約3mの壁画。壁に埋まっている60インチの13枚のディスプレーも絵の一部となっており、絵がアニメーションする。圧倒的な情報量の「手描き」のオブジェクトが通りががる人の足を止める(写真:チームラボ、2012、アニメーション+ハイパフォーマンスインクジェットオンウォール)
【チームラボの作品例】東京スカイツリー1階の壁画(隅田川デジタル絵巻)。全長約40m、高さ約3mの壁画。壁に埋まっている60インチの13枚のディスプレーも絵の一部となっており、絵がアニメーションする。圧倒的な情報量の「手描き」のオブジェクトが通りががる人の足を止める(写真:チームラボ、2012、アニメーション+ハイパフォーマンスインクジェットオンウォール)

【チームラボの作品例】東京スカイツリー1階の壁画(隅田川デジタル絵巻)から(写真:チームラボ、2012、アニメーション+ハイパフォーマンスインクジェットオンウォール)
【チームラボの作品例】東京スカイツリー1階の壁画(隅田川デジタル絵巻)から(写真:チームラボ、2012、アニメーション+ハイパフォーマンスインクジェットオンウォール)

猪子 寿之(いのこ としゆき)
猪子 寿之(いのこ としゆき) 1977年徳島市生まれ。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。同社は、エンジニア、CGアニメーター、デザイナー、建築家など情報化社会の様々なものづくりのスペシャリストによって構成される「ウルトラテクノロジスト集団」として、アートとテクノロジーを融合したプロダクト、映像作品、空間など手掛ける。http://www.team-lab.com/(写真:加藤 康)