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環境と人が響き合う街づくり「プロジェクト エコー・シティ」を進めるうえで欠かせないのは、立場を越えたつながりだ。メーンコメンテーターの建築家・隈研吾氏をはじめ、設計会社、建設会社、メーカー、研究機関、行政など種々の分野から20人が一堂に会し、つながりの可能性と課題について議論を交わした。

(写真=都築雅人)
(写真=都築雅人)


EVをつなげる際の基準づくりが急務

――最初は、電気自動車(EV)とつながることで建築や街はどう変わるか、について。

牧野(日産自動車) 累計販売台数4万5000台のEV「日産リーフ」は、建築や街と、二つの観点でつながっています。

 一つは「情報」。専用のIT装置を搭載し、車の使われ方やドライバーの行動パターンなどの情報を365日、やり取りできるようになっています。例えば、家の近くまで来たときに、室内のエアコンや照明のスイッチを入れるようなことも可能です。

 もう一つは「エネルギー」でのつながりで、蓄電池としての役割を担います。必要に応じてリーフから住宅やビルに電気を供給することができます。

 EVが建築や街とつながり始める一方で、モノの準備だけがどんどん先行してしまった感は否めません。今後は、つながる際の基準化や標準化など、ビジネス面でのプラットフォームをつくっていくことが課題です。

浅田(デンソー) 従来の車は騒音や排気ガスの問題などから、いわば建物や街とは無関係な存在でした。ゼロエミッションのEVは人にも街にもやさしく、車と街と建物とのつながりが生まれ、幸せな関係ができるのではないかと期待しています。

 3年前からイタリアで、2人乗りのEVを走らせる実験を進めています。ガソリン車は都市の公園に入れませんが、EVなら公園の中に入って快適なプライベート空間をつくれる可能性があります。土間や縁側にユーティリティスペースをつくることで居住スペースにEVを組み込んだり、EVが自走駐車したりするような発想も生まれています。

 これらを実現するには、車と街と建物を別々につくるのではなく、関係者がつながりながら、共通の目的に向かって議論を進める必要があります。

佐脇(経済産業省) お二人の話は共感するところが多く、EVには多様な役割を担う可能性があると思います。

 一消費者の立場としては、車としての機能だけではなく、「持ちたいな」と思わせる楽しさもあると感じました。街や建物に溶け込み、かつエネルギーの供給源としても使えるようになれば、セーフティネットの一部として組み込むことができ、社会的価値も生まれるのではないでしょうか。

山田(久米設計) 建築をつくる立場で言えば、現在、建築で使っているエネルギー源は電気、ガス、液体ガス、灯油、重油と様々ですが、ゆくゆくはハンドリングが楽で危険が少ない電気エネルギーに移行していくのではないか。そういう意味で先端を行くEVの事例は興味深いです。

日産自動車の牧野英治氏(写真=都築雅人)
日産自動車の牧野英治氏(写真=都築雅人)
デンソーの浅田博重氏(写真=都築雅人)
デンソーの浅田博重氏(写真=都築雅人)
経済産業省の佐脇紀代志氏(写真=都築雅人)
経済産業省の佐脇紀代志氏(写真=都築雅人)
久米設計の山田幸夫氏(写真=都築雅人)
久米設計の山田幸夫氏(写真=都築雅人)