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ごみ集積所も交流の場に

 集まった人が交流する仕掛けも用意している。敷地中央に配置した住宅の間に、狭い緑道を設けたのは、その仕掛けの1つだ。五井建築設計研究所の西川代表は、「各棟の緑道側にテラスを設け、緑道を挟んで向かい合う部屋の入居者や、緑道を散策する人との交流を促すことを狙っている」と話す(図4-3)。

図4-3 各住戸のテラスや玄関が向かい合う配置に
サービス付き高齢者向け住宅 基本階平面図 サ付き住宅などの賃貸住宅では、各住戸のテラスや玄関が向かい合うように配置。交流を促すことを狙っている(資料:五井建築設計研究所)
サービス付き高齢者向け住宅 基本階平面図 サ付き住宅などの賃貸住宅では、各住戸のテラスや玄関が向かい合うように配置。交流を促すことを狙っている(資料:五井建築設計研究所)

 住宅の入居者が必ず利用するごみ集積所も、コミュニケーションの場と考えている。集積所を、人通りの多い市道沿いに設置。ごみを捨てに来た入居者が話をしやすいように、集積所周辺の空間を広く取った。

 「いろいろな人が集まり、関わり合っていかなければ、街とは言えない。住み続けることはそれほど難しくないが、そこに住む人たちがつながりを持つことは容易ではない。入居者らがつながる仕掛けが、街づくりには必要だ」。雄谷理事長は、こう強調する。

 こうした交流の仕掛けづくりと同時に、設計するうえで心掛けたのが、画一的でない街並みの形成だ。碁盤の目のような区画では、街全体の雰囲気が無機的で冷たくなってしまう。これを避けるため、各建物の大きさや向きができるだけ同じにならないようにした。

 思い通りにならなかったのが、敷地内を通る道路の形だ。当初は幅員4m程度の道路を敷地内に蛇行させる計画を立てた。道路を歩いたり、自動車で走ったりする人の視界に、変化に富む風景が広がるようにするためだ。

 しかし、建物の接道要件を満たすには、敷地内に市道を通す必要があった。道路開発コンサルタントの助言を仰いだ結果、「幅員は6m以上。見通しが悪くなるという理由から、当初考えていたほど曲線の道にすることができなかった」と西川代表は残念がる(写真4-1)。

写真4-1 実現できなかった曲線の市道
敷地内には曲線を描く市道を通す計画だったが、道路開発コンサルタントから見通しを良くするため極力、直線にするよう助言された(写真:五井建築設計研究所)
敷地内には曲線を描く市道を通す計画だったが、道路開発コンサルタントから見通しを良くするため極力、直線にするよう助言された(写真:五井建築設計研究所)