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中・大規模木造にとって最大のハードルは、防耐火に関連する法制度から生じる制約やコスト増だ。近年、木造で耐火・準耐火建築物をつくる試みが活発になっている。混構造を選択し、無理や無駄のない計画とする事例も目立ち始めている。


 今年(2013年)5月末、東京都文京区に木造3階建ての「野菜倶楽部oto no ha Cafe」がオープンした。防火地域に指定された敷地に建つ3階建てなので、耐火建築物としてつくられている。取り組みとして新しいのは、耐火建築物でありながら、内部の木構造を現しで使っている点だ。通常は、木構造は被覆などの必要があり、現しで使うことはできない。この建物では、大手建設会社の鹿島が、1時間耐火の国土交通大臣認定を取得したスギの集成材「FRウッド」を使ってクリアした。今回が採用の第一弾となった。

木造3階建ての耐火建築物「野菜倶楽部 oto no ha Cafe」。基本設計:音羽建物、設計:KAJIMA DESIGN(写真:住友林業・鹿島建設・音羽建物・Kプロビジョン・スライムコーポレーション)
木造3階建ての耐火建築物「野菜倶楽部 oto no ha Cafe」。基本設計:音羽建物、設計:KAJIMA DESIGN(写真:住友林業・鹿島建設・音羽建物・Kプロビジョン・スライムコーポレーション)

 同じように、内部の木構造を現しで使う事例が、今年に入って続けて登場している。3月には、竹中工務店が開発した1時間耐火の大臣認定材「燃エンウッド」を主体構造に使った「大阪木材仲買会館」(大阪市)が完成している。今秋には、燃エンウッドを使った大型商業施設「サウスウッド」(横浜市)も開業する。大阪木材仲買会館もサウスウッドも防火地域に建ち、燃エンウッドによる木造と、RC造との混構造だ。

 耐火建築物をつくる木造の軸組み部材は、大きく3種類ある。前述のような(1)耐火木材を用いる「燃え止まり型」のほか、(2)木構造を耐火材料で被覆する「被覆型(メンブレン型)」、(3)内部の鉄骨を木材で被覆する「ハイブリッド型」だ。現実に採用される方法としては被覆型が多い。木構造が隠れてしまうのがデメリットという声もあるが、被覆することを逆手にとって、個性的な意匠を工夫した事例も現れている。

防耐火の制約クリアには混構造が合理的な場合も

 建築基準法が定める防耐火関連の規制も、木造にとっては高いハードルだ。建物の用途で見ると、公共施設や商業施設など、不特定多数の人が利用する建物の多くは「特殊建築物」になる。よほど小規模でない限り、特殊建築物は耐火建築物、あるいは準耐火建築物にしなければならない。

 また、中規模以上の建物には、防火壁や特定防火設備の設置が義務付けられる。スポーツ施設など一部を除き、延べ面積が1000m2を超える建物は、防火壁などによって1000m2以内の面積ごとに区画しなければならない。

 こうした規制は、RC造では特に問題にならないが、木造で対応するのはかなり難しい。つくることは可能でも、内部の空間構成に制約が生じたり、木構造を被覆する必要などで、コストを押し上げたりする要因になりかねない。

 最近の中・大規模木造の事例を見ると、こうした規制に対して、共通性のある手法を用いていることが分かる。例えば、RC造などとの混構造を選択している。防火構造であるRC造を平面上で組み合わせて、木造部分の面積を区画すれば、規制をやや緩めることができる。RC造の部分を利用してうまく水平荷重を分担させれば、木造部の負担を軽減できるので、構造上も有利だ。それによって、木材の断面寸法や部材数を抑えてコストの圧縮を図ることも可能になる。

「燃えしろ設計」を用いた準耐火建築物「オガールプラザ」の図書館。設計:近代建築研究所+中居敬一都市建築設計(写真:吉田 誠)
「燃えしろ設計」を用いた準耐火建築物「オガールプラザ」の図書館。設計:近代建築研究所+中居敬一都市建築設計(写真:吉田 誠)


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