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3.諸機能が集中する東京の都市づくりを進めるうえで、
  官と民の役割分担や、連携の在り方をどう考えるか。

河野雄一郎氏/森ビル。東京・港区一帯などの大規模再開発を手掛けるデベロッパーで、同氏は都市政策の企画、提言などに長く携わってきた(写真:都築雅人)
河野雄一郎氏/森ビル。東京・港区一帯などの大規模再開発を手掛けるデベロッパーで、同氏は都市政策の企画、提言などに長く携わってきた(写真:都築雅人)

河野(森ビル) 今はまさに政官民が一体になって取り組む時代であり、連携なしに東京の都市再生は成立しないと感じています。

 そもそも国際競争力や安全、環境、少子高齢化といった大義の面で、政官民が目指す方向に変わりはありません。ただ、PFI(民間資金等活用)で民間合築などに取り組む場合、民を活用する際の枠組みを狭めず、もっと自由に民の知恵が生きるようにしていただければと思います。

 従来の再開発では、道路や公共施設を新たに創出するための減歩が必要でした。今後の街区再編では、むしろ道路が不要になる場合も出てくるでしょう。その際、例えば区道をそのまま区道に付け替えるのではなく、その場所に本当に欠かせない公共施設、児童待機所や高齢者のための施設などに権利変換していくことも必要ではないでしょうか。また、我々が事業展開するには、魅力的な施設の導入も大切です。これらの実現のためにも、政官民が一体で取り組む意義があると感じています。

北 哲弥氏/大和リース。大和ハウスグループの一翼を担い、プレハブ建築、PFI事業、商業施設のほか、環境緑化・省エネ事業なども手掛ける(写真:都築雅人)
北 哲弥氏/大和リース。大和ハウスグループの一翼を担い、プレハブ建築、PFI事業、商業施設のほか、環境緑化・省エネ事業なども手掛ける(写真:都築雅人)

北(大和リース) 当社もPPP(官民連携/公民連携)などに積極的に取り組んでいますが、それぞれの強みと弱みを理解し、補完し合いながら協力連携できる体制が重要になります。バランスの取れた役割分担をしつつ、地域との連携も強化していく必要があると感じています。

 例えば、東京の場合、ほかの大都市や地方都市と比較して文教施設や公営の団地が多く、公共財産のうち両者が7割を占めています。少子化に伴う学校の統廃合などによって、そうした場所には「空き」が増えています。空いた建物の利用法としては、文化施設や生涯学習施設、保育施設、老人福祉施設、都心なら帰宅困難者対策施設、備蓄倉庫など、いろいろあり得ます。それらのリノベーションにも、PPPを生かすべきです。

──今後は、民を都市づくりに巻き込む視点も重要ですね。

大松(日建設計) 駅中心のコンパクトな複合開発を進める過程では、道路でも民間建物でもない中間的な領域がたくさん出てきます。こうした領域について、街の人たちと一緒に考えていく機会が徐々に出てきています。

 海外にはBID (Business Impro-vement District)のように、第三者機関が関わり、地域に一定の負担を求めながら利便を提供していく取り組みがあります。同様の仕組みが日本にもできていくと、駅周りにとどまらず、公共空間の景観向上や東京を代表する顔づくりといった事業を、より進めやすくなるはずです。東京駅の丸の内側エリアの取り組みなどは、民間の力を町の運営に取り込んでいる一例といえます。

杉本(建築家) 一番大事なのは街の持続可能性であり、機能だけではなく、歴史や文化を踏まえて考える必要があります。その時に、東京という大きな枠組みではなく、もっと小さな単位の集合体としてとらえる視点も欠かせません。東京は多様性に富み、地域の人たちが、それぞれの街のアイデンティティーを大切にした活動を進めています。こうした市民の活動を、いかに生かしていくかも重要なテーマです。