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5.国際的な視野を持って、各国から人を迎え入れる。
  そのために都市の魅力、競争力をいかに高めるか。

河野(森ビル) 森記念財団では都市の総合競争力ランキングを作成しています。2012年の調査までずっとロンドンは2位でしたが、2013年にそれまで1位だったニューヨークと順位が逆転しました。明らかに五輪効果です。東京は4位で、5位のシンガポール以下の追い上げを受けています。そうした状況にあって、いかに強みを生かし、弱みを解消していくか。大きなテーマは、やはり安全、環境だと思います。

 六本木ヒルズのオフィスは東日本大震災の際、揺れが収まった後は平時と同じ状態に戻って機能しました。外資系の金融機関も調査した後に、問題はないので、ここで仕事を続けるようにという指示を出しています。

 技術をきちんと街のなかに取り込んでいけば、人の命はもちろん、人の行動も街の機能も十分に維持できます。その際に、先ほどの話にあったような木を使う日本文化をどう打ち出すかなどは知恵の出しどころです。地震大国としての経験や、蓄積したデータを活用していくことも大切です。

──都市間競争の問題を含め、本日の議論全体も振り返って、最後に隈さんからコメントをいただけますか。

隈 研吾氏/建築家。東大では、新しい材料や構造などを建築や都市に生かすための「サスティナブルプロトタイピングラボ」を主導する(写真:都築雅人)
隈 研吾氏/建築家。東大では、新しい材料や構造などを建築や都市に生かすための「サスティナブルプロトタイピングラボ」を主導する(写真:都築雅人)

隈(建築家) 海外での経験を通し、日本の優位性は「人間対人間」の優しさにあると感じてきました。アジアのなかでも、それは突出しています。ですから、「おもてなし」は世界的な流行語になるかもしれないと感じているほどです。様々な技術や制度の課題を解決するなかで、その特性をどう生かしていくか。それが最終的には都市間競争力の向上に結び付くのではないでしょうか。これは同時に、五輪を機にどうやれば私たち自身の国際化が進むのかというテーマでもあると思っています。日本の文化をアピールしながら、おもてなしが単なる掛け声じゃなく、実質的に日本人が変わるチャンスになるとよいということです。

 五輪に向け、都市内のどこを重点的に選択し、整備していくかは、やはり大切なポイントです。安全上や環境上の重要な場所に集中しつつ、それぞれがうまく連携するようにしなければいけません。五輪招致を実現し、やはり東京には可能性があるぞという声を聞きます。今日も議論を聞きながら、ロンドンのように、東京もまた世界一になり得る可能性を感じているところです。この勉強会のネットワークを生かし、皆さんには高い目標を掲げていただきたいと思っています。

2013年11月、東京・港区の会場を用いて開催した。官と民の違い、年齢の違いなどを取り払い、フラットな関係で活発な議論を行うという趣旨により、勉強会では、メーンコメンテーターである隈氏以外の各氏には、氏名の50音順での着席をお願いした。当日のファシリテーターは、日経BP社建設局長の宮嵜清志、日経アーキテクチュア編集長の畠中克弘が務めた(写真:都築雅人)
2013年11月、東京・港区の会場を用いて開催した。官と民の違い、年齢の違いなどを取り払い、フラットな関係で活発な議論を行うという趣旨により、勉強会では、メーンコメンテーターである隈氏以外の各氏には、氏名の50音順での着席をお願いした。当日のファシリテーターは、日経BP社建設局長の宮嵜清志、日経アーキテクチュア編集長の畠中克弘が務めた(写真:都築雅人)