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20年東京五輪が開通のデッドライン

 トンネルが半分だけ完成したとはいえ、14年6月に現地を訪れると、工事は止まっているように見える。明治通りのバイパスとして開通するのは一体、いつになるのか。

 東京都道路建設部街路課の福永太平課長によると、残りの工事を進めるのに先立って、明治通りの地下にある埋設物の移設が必要になるのだという。千駄ヶ谷5丁目交差点付近にトンネルを築く際に、掘削の支障となるからだ。

明治通りの千駄ケ谷5丁目交差点付近。新たに整備するバイパスのトンネルはこの辺りに顔を出す。6月上旬に撮影(写真:山崎 一邦)
明治通りの千駄ケ谷5丁目交差点付近。新たに整備するバイパスのトンネルはこの辺りに顔を出す。6月上旬に撮影(写真:山崎 一邦)

 明治通りの車道の下には、電気やガス、通信、上下水道のケーブルや管が埋設されている。歩道下に埋める細い枝管とは異なり、車道下には太い幹線が埋められている。

 東京都は、埋設物を保有する電力会社などの事業者に道路整備の計画を示して移設を要請。事業者同士が現在、移設の方法や手順を検討する「企業者調整」を進めている。

 未着工区間について、東京都は用地をほぼ取得済みで、基本設計も終えている。今後、詳細設計を実施した後、南側に残る長さ140mのトンネルの築造工事のほか、路体や舗装、照明の工事などを発注する計画だ。

 企業者調整の段階なので、現時点で具体的な発注時期は定まっていないものの、20年の東京五輪開催前までの開通を目指す。「このデッドラインは、企業者調整に関わっている事業者へ伝えてある」(福永課長)

西側にある新宿高島屋から見る。新宿御苑の森と、森の手前にある新宿高校のグラウンドのフェンスとの間にバイパスを通す。6月上旬に撮影(写真:山崎 一邦)
西側にある新宿高島屋から見る。新宿御苑の森と、森の手前にある新宿高校のグラウンドのフェンスとの間にバイパスを通す。6月上旬に撮影(写真:山崎 一邦)

 計画から半世紀以上も閉ざされていたのはわずか約800mの区間だが、開通することによるインパクトは大きい。

 新宿駅周辺に用事のない自動車は、この区間を含むバイパスに流れる。その結果、新宿3丁目交差点や新宿4丁目交差点周辺の明治通りの渋滞が大幅に解消するとみられる。国交省が08年に試算したところ、明治通りのバイパスを整備することで、走行時間の短縮などによって2000億円以上の経済的な効果が見込まれるという。

 バイパスの完成後は、自動車が減った明治通りに、快適で安全な歩行空間を整備することなどが可能となる。

 約800mの区間の用地買収や工事に投じる総事業費は670億円ほど。道路を2層構造にすることで当初よりも費用は増えるものの、新宿御苑の希少な樹木の群落を守れたことは大きい。

 快適な歩行空間の整備や自然の保護――。20年の東京五輪に向けてビッグプロジェクトが注目されるなか、こうした貨幣価値に換算しにくい価値を生み出す都市の再構築も欠かせない。