実例解説
目次
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ポリマーセメントモルタルを吹き付け河川内の橋脚を耐震補強
国道6号の四ツ木小橋の橋脚耐震補強工事が実施されている。国と都道府県などが2005年度から始めた「緊急輸送道路の橋梁耐震補強3カ年プログラム」に基づく工事だ。
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地震で被災した下水道管を破砕しながら改築
2007年3月に能登半島地震で被災した石川県輪島市内の下水道管を本復旧するために、改築推進工法を採用した。既設管のずれや逆こう配などの変位に関係なく、泥土圧式推進機に装着した特殊カッターで既設管を破砕しながら新設管を設置できる。
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被災した世界最長の木造橋を全面復旧
2008年3月25日、世界最長の木造歩道橋である静岡県島田市の蓬莱橋が、約8カ月ぶりに全面開通した。2007年の台風4号の被害で約70m分が流された。130年の歴史を持つ橋はたびたび被災しており、2005年に災害復旧と改良の工事を終えたばかりだった。
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劣化対策を設計に織り込みLCCを削減
2007年3月に着工した羽田空港D滑走路の新設工事。国土交通省関東地方整備局が発注し、鹿島を幹事会社とする15社JVが設計・施工一括発注方式で受注した。
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仮締め切りせずに橋脚の耐震補強の工期を半減
耐震補強のために、小判形断面の橋脚に鋼板を巻き立てる。しかし、桁下の高さが4.6mで非常に狭いので、鋼矢板を打設して仮締め切りする従来工法は不向きだ。そこで、橋脚が水中にある状態で、水上から補強鋼板を圧入することができるピア-リフレ工法を採用した。
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一晩で高耐久伸縮継ぎ手を施工して舗装を連続化
道路橋の路面のジョイントは、車の乗り心地を悪くし、通行時に騒音を発生させるなどの問題点がある。首都高速道路会社は問題解消のため、路面の舗装面を連続させる補修工法を採用している。その一つが耐久性に優れる「ウルトラジョイント工法」だ。
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恒久的な堆砂対策でダムの寿命を延ばす
ダムの寿命を左右するのは、堤体の耐久性よりもダム湖にたまる土砂の量だ。堆砂が増えれば掘削を繰り返すしかなく、場合によっては新たなダムを造る必要に迫られる。
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せり出したトンネル坑門を通行止めせずに補強
50年前に完成したトンネルの坑門が老朽化し、前方へ最大5cmほどせり出した。崩壊を防ぐために、坑門の前面にコンクリートを5.5mの厚さで増し打ちする。型枠を設置するための内空断面が確保できないので、道路上にプレキャスト製のアーチ部材を設けて残存型枠とした。
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大改造せずに桁端部だけ補修
完成検査で合格した後に,橋の床版高が設計よりも最大84mm高く,本来ならば不合格だったことが発覚した。原因は,施工者が主桁の基準高を間違え,さらに施工誤差を重ねたことだ。施工者は瑕疵修補工事を実施した。
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老朽化した橋を地域になじむ人道橋に
南アルプスの仙丈ケ岳を源とし,長野県伊那市で天竜川に合流する三峰川(みぶがわ)は,古くから「暴れ川」として知られている。1951年度から治水や利水を目的とした三峰川総合開発事業が始まり,58年に高遠ダムが,59年には美和ダムがそれぞれ完成した。
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表層1cmだけ補修してコストと工期を縮減
路面補修の新しい方法として,「薄層表面処理工法」が注目を集めている。既存の路面に厚さ5~15mm程度のアスファルト混合物を敷設することで,ひび割れを埋め,耐すべり性などの機能を回復する工法だ。
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国内最大のFRPM管を挿入して補修
送水と貯水の機能を兼ねた配水トンネルの改築工事だ。築造後38年が経過して外部から漏水し,補修が必要だった。トンネルは無筋コンクリート製で,内空断面積が13.3m2,延長は800mに及ぶ。このほぼ全長にわたって強化プラスチック複合管を挿入し,エアモルタルを裏込め充てんする。漏水を防ぐとともに耐震化を…
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橋桁を15cm切り取って不等沈下を補正
関西国際空港で,人工島内の歩道橋の橋脚に約1.5度の傾きがあることが判明したのは2004年。両側の建物が不等沈下を起こしたからだ。そこで,歩道橋を管理する関西国際空港会社は,橋桁の途中を切り取った後で残った桁同士をつなぎ,橋脚の傾きを補正する対策に乗り出した。架設したまま橋桁を切り取る工事は,国内…
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鋼床版をコンクリート舗装と一体化して疲労対策
2002年に改訂された道路橋示方書は,鋼橋で車両の走行による疲労に配慮するよううたった。改訂以前に造られた鋼橋では近年,車両の大型化が進んで,鋼床版などに疲労亀裂が発生する例が報告されており,疲労対策は急務となっている。 神奈川県の茅ケ崎市と平塚市にまたがる国道134号湘南大橋もその一つ。
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道路施設の維持管理にICタグを利用
小田島組(岩手県北上市)と岩手県立大学ソフトウェア情報学部は共同で,道路施設の維持管理にICタグを活用する実験を行った。期間は2005年11月から2006年3月まで。寒冷地という地域特性も考慮し,実験時期をあえて積雪の時期に合わせた。
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2種類のPC桁を連結して地震力を分散
新潟県中越地震で被災した関越自動車道の芋川橋では,復旧工事と同時に構造の異なる桁を連結することで,耐震性能を向上させている。
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箱形の構造物をPC鋼材で外から緊張
白石は,鉄筋コンクリート(RC)製の貯留施設を対象とする「エコリフレ工法」と呼ぶ耐震補強工法を2004年に開発。箱形や円筒形の閉じた構造物に対し,構造物の外側にPC鋼材を据え付けて緊張力を導入する技術だ。
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増し厚が34mmで済む耐震補強工法を初採用
岐阜県恵那市内を流れる上村川に架かる国道257号の野口橋は,橋長85.9m。3径間鋼製単純I桁橋で,円柱式の橋脚を持つ。1976年に完成した。橋脚は,主鉄筋の本数を減らした段落とし部を持つタイプで,地震に弱い。
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崩壊形態に応じて矢板の打設深さを変える
盛り土の耐震補強は,ほかの土木構造物に比べて大きく遅れている。新設の盛り土では,鉄道分野でレベル2地震動に対応した設計が始まっているが,既設の盛り土の補強については手つかずの状態だった。レベル2とは,その地域で想定される最大の地震動だ。
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形の異なる4橋の仮締め切り材を転用
耐震補強工事の中でも特に施工が難しく費用がかさむのが,河川や海などの中に立つ水中橋脚の補強だ。橋脚本体の工事よりも,橋脚の周囲を締め切る仮設工事の費用が大きい。鋼矢板や鋼管矢板を打ち込む従来の工法では,河川の占有範囲が広く,工期も長くかかる。