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『マンション管理組合の理事会 管理会社の代行可能に』
『高齢化・単身者増 運営難に対応 国交省が検討』
──という見出しの記事が、日曜日の日本経済新聞1面トップに掲載されていました。

区分所有者の高齢化や単身者増によって理事会の機能しないマンションが今後急増する恐れもあるため、理事会に代わって管理会社が業務の大半を請け負える新制度について国土交通省が検討を始める、という内容です。

一読して「???」。頭のなかで疑問符が連続的にフラッシュしました。

高齢化や単身者世帯の増加によって理事会が機能しなくなる可能性は、だれも否定できないでしょう。マンション管理の主体として法律で位置づけられている管理組合の機能低下は、そう遠くない将来、多くのマンションが直面する大問題となるはずです。
そのための対策を政府がいまから講じておくこと自体は、当然のことだと思います。
しかし、だからといって、管理会社に理事会の業務を代行させる、という内容に直ちに結びつくのでしょうか。

管理会社と管理組合は一蓮托生ではありません。
株式会社である管理会社は、組合から一部の管理業務を受託して、業務の対価である管理費のなかから利益を上げます。管理会社がその利益を拡大・最大化させようとすれば、いきおい管理組合の利益と相反する事態が生じます。
もし自社の利益を犠牲にしてまで管理組合の利益を優先する会社があれば、その経営者は“無能”の烙印を株主から押されることになるでしょう。
同じマンション管理を扱う同士でも、管理会社と管理組合は同床異夢の存在と言えます。

前掲の記事で国交省は、「業務の大半」「管理会社の資格要件を厳しくして…」と予防線を張ってはいます。しかし、いったん理事会業務の代行を認めたら、管理会社の行いを一体だれがチェックできるのでしょうか。
理事会さえ機能しないマンションで、総会が機能するとは考えられません。監査も同様です。だからといって、利害関係の全くない外部の第三者にチェックを委託することを、代行者である管理会社が率先して行うとも思えません。

高齢化して認知症となった身寄りのない老人の財産管理を受け持つ専門家として、弁護士による成年後見人制度があります。
管理組合の“頭脳”と“手”であるはずの理事会が機能しなくなったマンションにも、この成年後見人に相当する役割を担う、中立・公正な立場の専門家が必要になるのではないでしょうか。

そこで冒頭の「???」です。
この記事は「マンション管理士」の存在に、なぜか一言も触れていません。
そもそも、管理組合の代弁者、アドバイザーとして管理の適正化を図る第三者的立場の国家資格として、マンション管理士制度は創設されたはずです。
そうであれば、機能しない理事会の業務を代行すべき者として最初に名前が挙がるべきは、管理会社ではなく、マンション管理士ではないでしょうか。

管理組合の理事会の業務を代行できる立場に一番近い存在はだれか。
この記事を読んだマンション管理士が何も声を上げないとしたら、ちょっと変です。
マンション管理に日々悪戦苦闘している住民の方々は、管理士の皆さんの今後の対応をきっと注意深く見ていると思います。