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Q: そろそろ新築入居から2年目を迎えようとしていますが、アフターサービスの期間は2年間と聞いています。管理組合としては、どんなことを準備しておけばよいでしょうか。

A: マンションにおけるアフターサービスとは、売買契約に基づくもので、不具合個所を無償で補修するなどのサービスを指しています。瑕疵の有無にかかわらず一定の不具合があれば無償で修補するもので、瑕疵担保責任とは異なります。

ただし、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって瑕疵担保責任の特例として構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分については瑕疵担保責任が10年間とされたため、マンション供給者の団体である不動産協会では「中高層住宅アフターサービス規準」の一部をこれに合わせて改定しています。
この規準では、ご質問にあるように2年間としている項目があるほか、植栽1年間、配線・配管等5年間、躯体・防水等10年間など、それぞれの期間が定められています。まずは、分譲会社が設定しているアフターサービス期間とその項目を確認してください。

一般的にアフターサービスの期間満了が近づくと、分譲会社や施工業者による点検・アンケートなどが実施され、その結果に基づいて不具合個所の補修などが行われます。
マンションは建物(専有部分・共用部分)と敷地、付属施設で構成されていますが、居住者のチェックはそれぞれの専有部分に向きがちであり、共用部分や敷地、付属施設の調査がなおざりになってしまう場合があります。

管理組合としては、事前に専門家からチェックするポイントや方法などについてアドバイスを受けたうえで、理事だけでなく居住者も調査に参加・協力して共用部分や敷地、付属施設のチェックを行い、業者に対して管理組合としての意見を十分に伝えることが必要です。
アフターサービスでは、売買契約の当事者でないことを理由に管理組合の意見を敬遠する業者も見受けられるようですが、共用部分の不具合については区分所有者を代表する管理組合理事長(管理者)が意見を集約・主導しなければ効果は得られません。

意見集約に当たっては、理事会が中心となって居住者を集めて「マンションツアー」を行い、参加者全員の目でチェックする方法や、不具合や疑問を簡単に記入できるアンケートを、分譲会社や施工会社とは別に管理組合独自で実施する方法があります。
マンションツアーの工程では屋上から1階まで階段を使用し、その間に施設・設備や敷地などを含めて普段見る機会のない個所を組み入れます。鉄部のサビ、外壁・廊下などのヒビ、変色、しみ、水溜りなどに注意して、気になる個所があれば、その情報を引き継ぐために、写真や映像による記録を残しておきましょう。
アフターサービス期間の終了時だけでなく、定期的に実施することで劣化や変化も発見しやすくなります。

なお、冒頭で申し上げたように、アフターサービスと瑕疵担保責任による無償補修は性格が異なります。アフターサービスは、指摘された不具合をとにかく修補するだけであり、不具合の根本原因まで正すわけではありません。このため、不具合が再発することもあり得ます。
不具合が再発した場合は、アフターサービスによらず、分譲会社の瑕疵担保責任や債務不履行責任を問いただし、瑕疵の修補を請求することになります。1区分所有者の請求では解決しにくいので、管理組合がバックアップして交渉を進める必要があります。管理組合でアンケートなどを行って、欠陥や不具合が複数の住戸に現れていないかを調べ、区分所有者の意見をまとめて交渉する必要があるでしょう。