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Q: 組合の総務理事が理事会の承諾を得ることなく、単独行動で業者から工事見積もりを取り、何度注意しても聞きません。理事長も黙認の姿勢です。このような理事を即刻解任させるか、もしくは活動をやめさせることはできないのでしょうか。

A: 区分所有法には、法人ではない管理組合の理事についての定めはありません。また、国土交通省がひな形として発表している「マンション標準管理規約(以下、「標準管理規約」)」でも、「役員の誠実義務等」、「理事の役割」、「理事会の会議および議事」の規定はありますが、「理事解任」に関する規定はありません。
そこで、管理組合の役員の解任などの行動を起こそうとする場合には、当該マンションの管理規約に、「理事会(役員)の業務等」や「役員解任」の定めに関する条項が定められているかどうかを、まず確認する必要があります。

規約に定められている「理事会(役員)の業務等」の条項で確認するポイントとしては、「理事会(役員)の業務等から逸脱している行為の有無」や「総会で承認されていない事業の実施の有無」などが挙げられます。また、業務の執行や財産の状況について不正が認められる場合は、監事の権限で臨時総会を招集することもできます。
ただし、以上を踏まえてみても、「総務理事が理事会の承諾を得ることなく、単独行動で業者から工事見積もりを取った」という行為だけをもって解任の手続きに入ることは難しいと判断します。

どうやって解任するかを考える前に、やるべきことがあるのではないでしょうか。
問題を整理してみましょう。

ご相談内容から総務担当理事の行為を要約すると、「理事会の承諾なく」、「単独で」、「見積もりを取り」、「注意しても聞かない」、「理事長は黙認している」――以上の流れとなります。
(1)総務理事の一連の行為は、どうして行われているのか。確信犯なのか、それとも自分は正しいと勘違いしたり、思い込んだりしているのか。理事会として多面的に検討して対処されたでしょうか。
(2)“何度も注意をしている”とありますが、誰がどのように注意しているのでしょうか。特定の理事なのか、それとも理事会なのか。また、どのように注意したのか。注意の仕方に問題、改善点はないでしょうか。
(3)なぜ、理事長は黙認しているのでしょうか。何度も注意をしたけれども聞く耳を持たないので諦めたのか、それとも面倒だからかかわりたくないのか…。その経緯はわかりませんが、管理組合を代表して毅然として業務を統括すべき理事長が黙認していることは問題です。どのように考えているのか、理事長にキチンと確認されたのでしょうか。
(4)同じ集合住宅に住む組合員である理事の解任を請求することは、マンション(集合住宅)に居住する全員に知れわたることになり、本人はもとよりその家族を含めた同居人全員に影響を与えることになります。なるべく将来に禍根を残さないことをまずは考えるべきでしょう。解任請求は、事前にやるべきことをやったうえでそれでも改善・解決が図られないときに行う最後の措置とすべきです。
(5)解任を請求することになっても、手順・手続きを大切にする必要があります。

もう一度、冷静になって、なぜ総務担当理事は単独行為をとり、周囲の理事の意見や注意に耳を傾けないのかを考え、適切に対処することをお勧めします。その結果として、解任請求の手続きとは別な対応策を検討されるようになることを期待します。