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冨田路昜氏(全国公営住宅火災共済機構企画調査部次長)×村井忠夫氏

村井 調査がかなり大きなキーワードになるのはたしかだと思います。そこで連想するのは、アンケートのことです。管理組合の現場で、意見がばらばらに分かれてしまって収拾がつかなくなったときにアンケート調査をやります、というケースが珍しくありません。
ところが、どういう方法でどういうアンケートをやるんですかと聞くと、これも、もうばらばらなんですね。
テレビや週刊誌流の“100人に聞きました”、“街角50人アンケート”とかいった非常にお手軽な、イージーゴーイングなアンケートをそのまま自分のマンションに持ち込もうとしている感じの発想の人がかなりいます。
こういうケースこそ、マンション管理士の出番だと思うんですがね。

マンションで意見をまとめる手法としてアンケートを行うときの基本設計はこうで、意見のまとめ方はこうで、回答表が配られたらこうでといった、一連のアンケート業務のビジネスモデルみたいなものを管理士は考えてくれてもいい時期じゃないかと思います。
この話が通じるマンション管理士も少しはいるんですよ。ただ、非常に少数なので心配なんですが…。管理士会辺りがそういうことを検討してくれるといいんですがね。

冨田 管理組合自身がアンケートを行おうとしても、アンケート内容を設計して、全戸に配付して漏れなく回収、集計、分析するにはかなりの手間がかかります。それを理事会でやろうとすると、マンションの中の特定の人が他の区分所有者全員のアンケートを見られることになって、“あの人には見せたくないのに見られちゃう”という不安や不満が出てくることもあります。
第三者が客観的なアンケートを実施して、その集計結果を理事会に出すことにすれば、“私はあの理事には回答したくない”といった人たちの不安を取り除くこともできますから、そういう場合はマンション管理士に協力してもらうのもいいと思います。

ただ、専門家の調査となれば当然費用がかかるわけで、管理組合にそのことがわかりやすいように、これだけの「調査」にはこれだけの「費用」がかかるという具体的な説明ができることが必要だと思います。
マンション総合調査や各地域の調査をよく知っている、ほかのマンションがどんな状況かもよく知っている、その地の自治体がどんなサポートをやっているかも十分に情報を持っている前提で、“あなたのマンションにカスタマイズできる調査をマンション管理士として提案しましょう”、“料金はこれだけで、効果はこれだけです”となれば、理事会も総会で説明しやすくなります。
それをきっかけに、その管理組合がマンション管理士に依頼する場面も広がっていくと思います。

村井 マンション管理士はそういう側面への関わり方も含めて一種のコーディネーターになればいいんじゃないかと思いますね。
調査の主体はやっぱり管理組合でしょう。ただ、問題はその管理組合が素人集団であることです。そういうことに不慣れな人が大勢いる素人集団の管理組合に対してマンション管理士がある程度コーチャーの役目を果たしながら、ここはこうしてというアンケート全体のプランを管理組合に示して引っ張っていく。そうした意味でのコーディネート機能を発揮すべきだろうと思うんです。

ただ、管理士と管理組合だけではうまくいかないかもしれませんから、管理会社にもそこら辺でうまく働いてもらいたいですね。管理会社のサポートがないと管理組合は実際には何も動けないのだから。
管理委託契約書に管理組合が行う調査に対する支援業務を具体的に書いて管理士に提言し、ある程度、管理会社も具体的なサポート機能を果たしていけばいいんじゃないか。時間はかかるかもしれないけど、一度そうしたイメージが出来上がると結構長続きするんじゃないかという気もします。

冨田 そうですね。たしか2000(平成12)年に住宅金融総合研究会でまとめた調査報告で、一定の管理業務モデルの仕様をつくって、管理費がいくらぐらいになるかを管理会社に聞いた調査がありました。その中で、一番安いところは320万円、一番高いところは2000万円を超える数字を出していました。
同じ内容のはずなのに、何でそこまで差が…。

両極は別としても、平均で900万円を超えるぐらいのところでした。しかし、我々が実際に現場で受けるサービスは、目に見える物とは違って、どのくらいのところをベースに考えたらいいか判断が難しいと感じます。極端な話、320万円のサービスしか受けていないのに1000万円も払っていることが起こり得るわけですし、その逆もあるわけです。

もちろん細かく聞けばそれ相応の理由があるとは思いますが、うちの会社はいかにいいサポートができるということがもう少しわかりやすいといいと思うのです。“自分たちの会社は他社と比較してここが優れています。だからご安心ください ”とか、“管理組合へのサポートとは具体的にこういうことをやっていくんですよ”と、どんどんアピールすればいいと思います。