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“なぜ「月夜」で「遠吠え」かは、いずれコラムの中で明らかになるでしょう”とかつて書きました(2007年4月25日付)。ところが、書くべきことが次から次に現われ、「いずれ」にかまけていままでその件に触れてきませんでした。このまま編集記を閉じるわけにはいきません。

前任の編集担当者は“徒然草”にひっかけたタイトル(マンション管理徒然編集記)どおり、簡潔でスマートな論調を展開していました。お互いに大学院で都市計画を専攻した身。マンションに対する考えや思いは共通していたのですが、いかんせん性格は違います。当然、文章の表現や長短も異なります。そのままのタイトルで約3カ月コラムを書いているうちに、“徒然”ではどうにも無理があることに気付きました。そこで、サイトのリニューアルに合わせてひねり出したのがいまの「月夜の遠吠え」です。

“本音で書こう”
雑誌とはかたちこそ違え、メルマガとサイトで再びマンション管理にかかわることになって最初に考えたのは、“マンション管理は本音の先でこそ希望が開ける”ということでした。
ペット飼育をはじめとする管理規約の扱い、管理組合役員の選び方、区分所有法と標準管理規約の溝、建て替え関連規定の相次ぐ緩和で弱体化する区分所有権、超高層マンションの出現、管理の質が反映されない中古市場価格、区分所有者の無関心──どれをとっても建前と本音がかい離しているのがマンション管理だと思います。
役員経験者はもちろん、管理会社の担当者、行政の関係者、マンション管理士などの専門家も、みなさん薄々その点に気付いているだけでなく、その板ばさみで悩んでおられるのではないでしょうか。
一般に流布しているマンション管理関連の情報が建前ばかりになる理由もわからないではないですが、当事者や関係者では奥歯にモノが挟まって言いにくいことも、編集者の立場であれば書くことができます。

ただし、わかってくれるマンション居住者が必ずいる一方で、本音ベースで書けば“建前”の世界だけで仕事をしている人たちはまともに取り合ってくれないだろうな、というとまどいもありました。そんな思いから「遠吠え」という言葉はすんなりと決まりましたが、マクラの言葉には苦しみました。
「遠吠え」だから狼か? それじゃストレート過ぎてあんまりだし、「ムラタの遠吠え」じゃ私がまるで狼のように思われるし、ひねり過ぎてもわからないだろうし……我が家のベランダでそんなことをウダウダ考えながら夜空を見上げると、こうこうと照る満月が目に入りました。
「そうだ、『月夜』にしよう!」
翌日、編集部で周囲に持ちかけると、反応は上々でした。タイトルは一発で決まりました。
ただし、私の思いがその時点で本当に伝わっていたのか、いまだによくわかりません。
「ぴったりですね!」という反応が返ってくるたびに、正直、複雑な気分になりました。