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柱・梁の接合部において緊結金物という現代の技術が重要になる一方で、壁に関しては伝統的技術が再評価され始めている。現代と伝統を融合することで、「木を多く使う」発想が必要だと三澤康彦・文子夫妻は言う。

─2回にわたって、柱や梁などの構造材を接合する方法を学んできました。これで丈夫な構造体ができますか。

康彦(以下Y) この連載の第1回で、現代の木造住宅は軸組み構法というより「軸組み壁構法」と呼ぶべきでは、という話をしましたね。太い木材を使う寺社仏閣と違って、住宅の柱・梁は細いので、軸組みだけでは地震や強風など、水平方向の力に耐えられません。耐震性を得るためには耐力壁が不可欠です。

─耐力壁?普通の壁とどう違うのですか。

文子(以下F) ただの間仕切り壁ではない、構造体の一部として力を発揮する壁のことです。

Y 図1を見てください。現在、建築基準法で認められている耐力壁には、筋交い、構造用面材、土塗り壁の3種類があります。一般に、耐力壁としてよく使われるのは筋交いです。一番の理由はコスト。筋交いは表に見えないので、材は安価な野物(のもの)(仕上げ加工をしていない部材)を用い、木材量としても多くは使いません。

図1 主な耐力壁は「筋交い」「構造用面材」「土塗り壁」の3種類
(イラスト:宮沢 洋)
(イラスト:宮沢 洋)

F 柱と柱の間に斜めに入れる筋交いは、圧縮力にはよく耐えますが、それだけでは引き抜く力に対して弱い。筋交いプレートと呼ばれる金物で緊結しなければ、耐力壁としての十分な力を発揮できません(図2)。

図2 筋交いは引き抜きに弱い
(イラスト:宮沢 洋)
(イラスト:宮沢 洋)

─図1にある壁倍率というのは何ですか。

Y 耐力壁の強さを示す指標が壁倍率です。壁倍率1を基準として、数字が大きいほど耐力が強いことを意味します。筋交い壁では、筋交いに使う材の厚さと、筋交いを1本だけ入れるか、2本たすきがけにして入れるかで壁倍率が異なります(図3)。

図3 壁のつくり方によって壁倍率が決まっている
軸組みの種類別壁倍率の比較(建築基準法施行令第46条第4項表1)。壁倍率を定める建築基準法告示が2003年に改正になり、土塗り壁は、従来の壁倍率0.5に加え、1.0および1.5の壁倍率となる仕様が追加された
軸組みの種類別壁倍率の比較(建築基準法施行令第46条第4項表1)。壁倍率を定める建築基準法告示が2003年に改正になり、土塗り壁は、従来の壁倍率0.5に加え、1.0および1.5の壁倍率となる仕様が追加された