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戸建て住宅では、小型の電気自動車との連携が進みそうだ。カギを握るのが土間や縁側などの“中間領域”の活用。これらの空間まで小型電気自動車を呼び込んで電力受給や介護などに役立てることができる。

 2012年6月、日産自動車は電気自動車「リーフ」のバッテリーから住宅へ電力供給するシステム「LEAF to Home」の提供を開始した。リーフにためた電気を住宅の分電盤に接続し利用する世界初のシステムだ。電気の受け渡しを通し、戸建て住宅と電気自動車の距離が一気に縮まっている。

有望なのは小型電気自動車

 電気自動車は、戸建て住宅の中にどこまで入っていくのか。ガソリン車と違い、排気ガスを出さなければ、リビングやダイニングのなかにも電気自動車が入っていくことは技術的に可能なのだろうか。

 積水ハウス総合住宅研究所の木村文雄所長は、両者がどのように融合するかは、電気自動車のサイズによって大きく2つの形が考えられると話す(図2-1)。一つはワンボックスサイズの大型車。もう一つは軽自動車クラスの小型車や、1人乗りの超小型車だ。このうち、木村氏が住宅との融合が進むとみているのは、後者のグループだ。

図2-1 電気自動車の大きさで連携の形が変わる
小型タイプと大型タイプの電気自動車とでは、戸建て住宅と連携する形が異なる。10年後に技術的に実現する可能性が高いのは小型タイプの電気自動車との融合だ(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
小型タイプと大型タイプの電気自動車とでは、戸建て住宅と連携する形が異なる。10年後に技術的に実現する可能性が高いのは小型タイプの電気自動車との融合だ(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)

 木村氏ら住宅設計の専門家の話をもとに、図2-2に小型タイプの電気自動車と住宅が連携している例を示してみた。軽自動車クラスなら、車は中庭や縁側に入っていき、電力受給だけでなく介護でも活躍する。住宅側で上下する床を設置したり、車側に車高調整機能があったりすれば、バリアフリーの室内から車までがフラットな状態でつながる。介護の作業環境は格段に向上する。

図2-2 縁側や土間を活用し、電気自動車と融合していく
取材を基に作成したイメージ図。2020年ころには現実のものになりそうだ(イラスト:Kucci)
取材を基に作成したイメージ図。2020年ころには現実のものになりそうだ(イラスト:Kucci)

 一人乗りの超小型サイズなら、車はもう少し中まで入って、土間やたたき台まで進入する。このクラスになると、もはや車というより家電製品に近い。例えば、車の座席にマッサージチェアやオーディオルームの機能を持たせれば、車とほかの電気製品の一台二役になりスペースの節約にもなる。

 電気自動車が家電になれば、これからは電気自動車側でHEMSの機能を担うようになる。そうなると、住宅設計者は電気設備やIT機器などHEMS関連の設備を気にせず、電気自動車を生かす生活空間の設計に専念できる。

 サイズはどちらであっても、車がリビングやダイニングの空間まで入っていくイメージではない。積水ハウスの木村氏は「車が室内の奥まで入り、フローリングの上に設置するシミュレーションもしているが、実現には長い時間がかかる。それよりも、通り庭や縁側などの中間領域を利用するほうが、現実的ではないか」と指摘する。

 同じ視点から「住宅の中間領域を積極的に活かすべきだ」と主張する専門家もいる。名古屋大学大学院の堀田典裕助教は「現代の住宅は、土間や縁側といった中間的領域を考慮してこなかった。この空間を、電気自動車を活かす空間として活用してはどうか」と話す。