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浄土寺浄土堂の内部(写真提供:小野市) 浄土寺浄土堂 所在地=兵庫県小野市浄谷町2094 竣工=1192年 交通=神戸電鉄小野駅からタクシーで約10分
浄土寺浄土堂の内部(写真提供:小野市) 浄土寺浄土堂 所在地=兵庫県小野市浄谷町2094 竣工=1192年 交通=神戸電鉄小野駅からタクシーで約10分

 一般的な知名度はそれほどではないにもかかわらず、建築の専門家が非常に高い評価を与えている古建築がある。浄土寺浄土堂はまさにそれだろう。磯崎新や石山修武ら、名だたる建築家がこの建物に特別の評価を与えてきた。いわばツウ好みの古建築。今回は、その魅力に迫ってみたい。

 場所は兵庫県の内陸地だ。神戸から神戸電鉄に乗って1時間ほどで着く小野駅から、タクシーに乗って約10分。人家もまばらな田園地帯に浄土寺はある。本堂、鐘楼、八幡神社などが配された伽藍の一部として、浄土堂は建っていた。

 外観は素っ気ない。正方形の平面にそのまま架かった方形の屋根は、反りやむくりがほとんどない直線的な形。加えて、垂木の先端を鼻隠しで覆っているので、一般的な古建築の味わいに欠ける。これのどこが名建築なのか、と感じるむきも少なくないだろう。

 しかしこの建築がすごいのは内部なのだ。内部を見れば、外観の素っ気なさは意図的であることが推測できる。

 ポストモダン以降の現代建築には、家型というモチーフがある。切妻や寄棟のシンプルな屋根を載せた建物の形態で、そこではしばしば軒の出をなくすなど建築的なディテールの消去が行われる。そうした「抽象化された家型」の先駆が浄土堂の外観だったのではないか。