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業務の2%を前倒し

 設計業務を受託したのは梓設計。同社にとって、実施プロジェクトでBIMを本格的に使うのは初めてだ。基本設計段階で、意匠、構造、設備の各分野の情報を入れたBIMモデルを作成。このBIMモデルを使って、換気や照度などのシミュレーションも実施しながら、設計を進めた。実施設計では仕上表や平面図、立面図・断面図、展開図、天井伏図、建具表などをBIMモデルから出力。設計は12年3月に終了した。

 従来の設計プロセス(2次元CAD中心)では実施設計で実施していた業務の2%が、基本設計段階に前倒しできた。梓設計常務取締役設計室長の安野芳彦氏は、「業務量で見ると前倒しできた量は2%だけだったが、設計の品質向上や後工程での手戻りを減らせるなどメリットは大きかった」と話す。

 なかでも安野氏が大きな手応えを感じたのは「発注者との合意形成がスムーズに進んだこと」。発注者との打ち合わせの際、BIMモデルを基にしたシミュレーションを活用することで、設計変更がスムーズに進んだ。例えば、自然換気の開口部との兼ね合いから、自然光を利用するライトシェルフの効果が薄いことが分かり、ライトシェルフの採用を見送った。

 このプロジェクトでは、設備設計でBIMを利用したのは基本設計までで、設備の実施設計では2次元CADを利用した。設備設計者が3次元の作図に慣れていない現状ではBIMに完全移行するのは難しいと判断したからだ。