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「フルスペック」のBIMに挑む

 新宿労働総合庁舎のほかに、現在、国交省が進めているBIM導入プロジェクトは2件ある(図2-2)。その1つ、安井建築設計事務所が設計中の前橋地方合同庁舎は、基本設計から実施設計までを通して、意匠、構造、設備の全てでBIMモデルを作成する予定だ。

図2-2 国土交通省が進める官庁営繕事業でのBIM導入プロジェクト
未着工の前橋地方合同庁舎と静岡地方法務局藤枝出張所については設計者選定時の情報に基づく(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
未着工の前橋地方合同庁舎と静岡地方法務局藤枝出張所については設計者選定時の情報に基づく(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)

 さらに、安井建築設計事務所では国交省に対し、竣工後のファシリティ・マネジメント(FM)にもBIMモデルを使えるよう提案する考えだという。同社執行役員副所長で設計部長を務める村松弘治氏は「監理業務の中で、BIMモデルにFM用のデータを追加すれば、最終的に維持管理で活用できるはずだ」と話す。

 安井建築設計事務所は設計事務所のなかではBIMの普及が進んでいる事務所といえる。07年から全社的にBIMを推進してきた。意匠設計で使う設定などをまとめたBIMテンプレートを独自に開発。既に基本設計は80~90%、実施設計で60~75%のプロジェクトにBIMを使用している。

 大村鐵太郎取締役副社長は「BIMは建築の生産性を大きく高めることができる。その力を発揮するには、まずスタート地点にある設計段階でBIMを進めていかなければならない」と力説する。一方で、「設計事務所と施工会社の情報伝達が必ずしもうまくいっていない現状では、BIM本来の力を発揮できているとはいえない。統一的なルールづくりが早急に必要だ」と国交省の“次の一手”に期待を寄せる。