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地域住民のサポートが前提となる地域包括ケアでは、施設の存在に関心を持ってもらう必要がある。介護拠点となる施設に、地域住民も利用できる飲食店や交流施設などを設ける動きが出てきた。

 2012年8月に開業した「シャルールコパン」(福岡県大牟田市、図3-1)の1階には足湯が設けられている。同施設は介護の必要な高齢者に食事や入浴サービスなどを提供するデイサービスセンターや、認知症の高齢者が住むグループホームなどがある。

図3-1 市の補助で地域交流室を設置(シャルールコパン)
1階のデイサービスセンターは、地域交流室と一体になっている。地域の住民も自由に出入りできる。内装や家具に高級感を持たせ、足湯を設けるなど、住民を呼び込む仕掛けをつくっている(写真:それいゆ)
1階のデイサービスセンターは、地域交流室と一体になっている。地域の住民も自由に出入りできる。内装や家具に高級感を持たせ、足湯を設けるなど、住民を呼び込む仕掛けをつくっている(写真:それいゆ)
シャルールコパンの外観。近隣住民が出入りしやすいように、カフェのようなデザインにした。前面道路側に地域住民用の出入り口も設けた(丸印)(写真:日経アーキテクチュア)
シャルールコパンの外観。近隣住民が出入りしやすいように、カフェのようなデザインにした。前面道路側に地域住民用の出入り口も設けた(丸印)(写真:日経アーキテクチュア)

 事業者である社会福祉法人それいゆ統括本部介護・看護部門の谷口和子部門長は、「近隣の住民が自由に出入りして利用できるようにしている」と話す。

 足湯は、1階のデイサービスセンターに併設した地域交流室にある。デイサービスセンターや2階のグループホームの入居者に混じって、地域住民が利用する姿も見られる。

 足湯のある地域交流室は、市の介護基盤緊急整備補助金750万円で整備したものだ。大牟田市は、市内に小規模多機能型居宅介護施設(以下、小規模多機能)を設ける場合には、地域交流施設の併設を義務付けている。

 同市都市整備部建築住宅課の牧嶋誠吾課長は、「福祉施設は自分とは無関係と思い込んでいる市民も少なくない。地域交流施設の併設には、こうした無関心層に地域包括ケアの考え方を理解してもらう狙いもある」と話す。

 地域包括ケアへの移行は、大牟田市にとって避けられなかった。12年10月には65歳以上の人口が全体の3割を超えた。その過半は75歳以上だ。

 「急激な市民の高齢化に介護施設の整備が追いつかない。特別養護老人ホームのような大規模介護施設を、補助金を出して建設しても待機者数が増える一方なので、03年以降は計画していない」。牧嶋課長は、地域ぐるみで助け合う地域包括ケアに転換せざるを得なかった事情について、こう語る。