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2012年末の政権交代で就任した安倍晋三首相は「復興の加速化」を最重要課題の1つに掲げた。政府は復興庁の組織を強化し、復興予算を大幅に増額した。だが、復興の現場は資材・職人・土地の不足が深刻で混乱が続く。

 被災地に公共工事専用の“官製”生コンプラントを設置する─。2月19日に国土交通省が開いた「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」で、深刻化する生コン不足問題に対処するため、そんな検討がなされた(写真1-1)。

写真1-1  官民共同で対策を協議
2月19日に開いた「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」。国や自治体、建設関連団体が対策を協議した。国交省は公共工事専用の生コンプラント設置を検討する方針を表明した。市町村や民間の発注工事への供給遅れを防ぐのが狙いだ(写真:日経アーキテクチュア)
2月19日に開いた「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」。国や自治体、建設関連団体が対策を協議した。国交省は公共工事専用の生コンプラント設置を検討する方針を表明した。市町村や民間の発注工事への供給遅れを防ぐのが狙いだ(写真:日経アーキテクチュア)

 生コンは、工場から現場まで90分以内で運ぶのが原則。しかし、被災地では生コンの生産が追いつかず、需給が逼迫して価格が急騰している。

 国交省がまとめた被災3県(岩手、宮城、福島)での主要建設資材の需給動向によると、生コンは12年9月以降、骨材用の砂は同年11月以降、逼迫している状況が続く(図1-1)。被災地内で操業するプラントが少ないうえ、震災後に民間が設置したプラントは4基にとどまっており、需給バランスが崩れているのだ。

図1-1 被災地で深刻な生コン不足
岩手、宮城、福島の被災3県での主要建設資材の需給動向。生コンや砂の需要が逼迫している。数字は「緩和」「やや緩和」「均衡」「やや逼迫」「逼迫」の回答を1~5点とし、全モニターの回答を平均したもの(資料:国土交通省)
岩手、宮城、福島の被災3県での主要建設資材の需給動向。生コンや砂の需要が逼迫している。数字は「緩和」「やや緩和」「均衡」「やや逼迫」「逼迫」の回答を1~5点とし、全モニターの回答を平均したもの(資料:国土交通省)

 政府が12年度補正予算案と13年度予算案で盛り込んだ復旧・復興事業の執行が本格化すれば、資材不足は一層深刻になりそうだ。

 職人不足も重くのしかかる。国交省による労働需給実態調査では、震災後、東北地区だけでなく全国で労働力不足が顕在化し、長期化している(図1-2)。

図1-2 職人不足は全国で問題に
労働需給実態調査結果。型枠工(土木・建築)、鉄筋工(土木・建築)、左官、とび工、電工、配管工の8職種が調査対象。震災後、東北地方だけでなく全国で労働力不足が顕在化している(資料:国土交通省)
労働需給実態調査結果。型枠工(土木・建築)、鉄筋工(土木・建築)、左官、とび工、電工、配管工の8職種が調査対象。震災後、東北地方だけでなく全国で労働力不足が顕在化している(資料:国土交通省)