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崖との距離が県条例に違反

 設計ミスによる最大の問題は、崖と建築物との距離が県条例に違反することだった。

 県条例8条は、建物の敷地が高さ2mを超える崖の下にある場合について、崖の上端から建物まで、その崖の高さの2倍以上の水平距離を保たなければならない、と定めている(図2)。

図2 高さ2m超の崖に近接する建物に関する規制(愛知県建築基準条例8条)
(資料:愛知県の資料をもとに日経アーキテクチュアが作成)
(資料:愛知県の資料をもとに日経アーキテクチュアが作成)

 被告の設計に間違いがなければ、完成後の崖の高さは2mを超えず、県条例を適用する必要はなかった。ところが被告は現況を確認せず、原告から渡された測量図だけをもとに設計した。実際に施工者が、被告の設計通りに掘削、造成したところ、近接する崖は傾斜が30度超と急傾斜で、高さも2mを超えていた。

 こうした状態は、県条例に違反していた(図3)。県条例8条を適用すると、建物を崖の上端から少なくとも4mは離さなくてはいけない。しかし、崖の上端からの距離は3m未満。敷地の形状や規模からいっても、建物を崖から4m以上離す余裕はなかった。

図3 裁判所の判断
(資料:判決文をもとに日経アーキテクチュアが作成)
(資料:判決文をもとに日経アーキテクチュアが作成)

 加えて設計上は建物より低いはずだった崖が、実際には建物より高くなった。そのため、眺望や採光の条件が劣悪になった点を裁判所は厳しく追及した。