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「均質」を乗り越える

 せんだいメディアテークの特徴は、ドミノシステムと比較することによって浮かび上がってくる。ドミノシステムは、建築生産がいまだ手仕事的状況にあるなかで、T型フォード(自動車)の大量生産体制に感銘を受けたル・コルビュジエが提示した建築システムと美学であった。そこで目指したのは、近代共通の課題であった手仕事の低品質な生産からの脱却と、建築部材のモジュラー化(部品化)による大量生産システムの確立、そして均質空間の獲得であった。

 たった1枚の絵であったにもかかわらず、ドミノシステムがその後の大型建築の方向性を決定的にしたことは、都心にそびえる超高層ビル群を見れば明らかである。

 対して、せんだいメディアテークが目指したのは、建築各部のエレメントをスラブとチューブに統合することによって、建築を本来の1品ごとにつくられる「個別生産」へと引き戻し、人間のアクティビティーを誘発する「非均質」な場所性を獲得することにあった。