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国産材使うため耐火軸組みに

 設計はアプルデザインワークショップ(東京都文京区)が担当した。大規模な耐火木造建築は、一般的にはツーバイフォー工法でつくる例が多い。しかし、地元の材を使いたいという阿武副理事長の意向を受けて、木造軸組み工法を採用した。ツーバイフォー工法は主に輸入材を使うからだ。ただし、県産材は供給量が少ないため、構造用資材には、山口県産ではない国産材を使用。建具など目に見え、人が触れる部分を中心に県産材を使用した(写真3-3)。

写真3-3 内装の仕上げに県産材
玄関ホール。ベンチの仕上げには山口県産材を張っている(写真:北嶋 俊治)
玄関ホール。ベンチの仕上げには山口県産材を張っている(写真:北嶋 俊治)

 大規模な木造軸組み工法はツーバイフォー工法よりコストが割高だ。施工時に大勢の職人が必要で、工期もツーバイフォーに比べて長いからだ。さらに、1時間耐火仕様にするため、軸組みのまわりに石こうボードを隙間なく張る必要があった(図3-2)。工事費は約8億円で、坪単価は青藍会が同時期に鉄筋コンクリート(RC)造で建設した同規模の高齢者福祉施設よりもやや高い約63万円だった。

図3-2 内装には石こうボードなどを隙間なく張る
内壁や天井などには、耐火仕様を満たすため、隙間なく石こうボードを張っている(資料:アプルデザインワークショップ)
内壁や天井などには、耐火仕様を満たすため、隙間なく石こうボードを張っている(資料:アプルデザインワークショップ)

 外壁も木住協の木造耐火認定の規定によって木材を使えないが、木の質感を伝えるため、外壁に木製ルーバーを取り付けた(写真3-4)。木製ルーバーには難燃塗料を塗布。パネル化して、躯体から持ち出したブラケットに鉄骨を取り付け、そこにルーバーのパネルをボルトで固定した。

写真3-4 木製ルーバーで木造らしさを表現
構造体の木材を現しにできない代わりに、外壁に木のルーバーを設置した。外壁から30cm離すことで付属物として認められた(写真:日経アーキテクチュア)
構造体の木材を現しにできない代わりに、外壁に木のルーバーを設置した。外壁から30cm離すことで付属物として認められた(写真:日経アーキテクチュア)

 アプルデザインワークショップは、特定行政庁の山口市と協議。木製ルーバーを、木造耐火認定の基準を満たす窯業系サイディングの外壁から30cm離した。同社の江口英樹代表は、「こうすることで、壁ではなく付属物であるとして設置が認められた」と話す(図3-3)。

図3-3 パネル化した木製ルーバーは取り外し可能
木製ルーバーはパネル化。メンテナンス時には取り外せる。雨樋や設備配管、排気口などを隠す役目も果たす(資料:アプルデザインワークショップ)
木製ルーバーはパネル化。メンテナンス時には取り外せる。雨樋や設備配管、排気口などを隠す役目も果たす(資料:アプルデザインワークショップ)