PR

2階が居室でも準耐火が可能

 実は準耐火木造の特養は、以前よりも建設しやすくなっている。従来は、前述した「特別養護老人ホームの設備および運営に関する基準」によって、準耐火で2階建てが建てられるのは、「居室等」(居室や食堂、浴室など)が地上1階のみにある場合に限られた(図3-4)。

図3-4  2階建て特養を準耐火でつくる条件が緩和
特養は2階や地階に居室などを設けない場合だけ準耐火建築にできた(図の左)。2012年3月以降は、所轄消防署と相談したうえで避難マニュアルを作成しているといった条件を満たしていれば、2階や地階に居室などがあっても準耐火建築にできるようになった(右)
特養は2階や地階に居室などを設けない場合だけ準耐火建築にできた(図の左)。2012年3月以降は、所轄消防署と相談したうえで避難マニュアルを作成しているといった条件を満たしていれば、2階や地階に居室などがあっても準耐火建築にできるようになった(右)

 厚生労働省は12年3月、同基準を一部緩和。所轄消防署と協議のうえ、避難マニュアルを作成するといった条件を満たせば、地上2階と地階に「居室等」を設けても、準耐火木造にすることが認められるようになった。

 木造の特養は財務上のメリットもある。高齢者福祉施設の場合、木造建築は減価償却期間が17年。RC造は39年なので約半分だ。この償却期間の短さは、スピード感のある経営を可能にする。

 仮に20年後、業態の変化を求められて建て替える必要が生じたとする。償却費は経費として計上できるので、経営状態の良好な企業ならば年間の利益を押し下げ、節税効果がある。一方、償却期間前に解体することになったRC造では、残りの19年間にできるはずだった節税効果がなくなる。また、その時点の残存価値が資産から消えることになり、金額によっては赤字決算にもなりかねない。木造なら既に償却を終えている。

 このように、木造には身軽な経営ができるメリットもある。

ハートホーム宮野新館

  • 所在地:山口市宮野下2996-1ほか
  • 主用途:老人福祉施設、寄宿舎
  • 地域・地区:第二種住居地域、第二種中高層住居専用地域、防火地域指定無し、法22条指定区域、都市計画区域内
  • 容積率:157.91%(許容200%)
  • 建蔽率:57.57%(許容70%)
  • 敷地面積:2976.30m2(全体)
  • 建築面積:1375.90m2(増築部)
  • 延べ面積:3875.55m2(増築部)
  • 構造:木造一部鉄骨造
  • 階数:地上3階
  • 基礎・杭:深層混合処理工法・布基礎
  • 最高高さ:10m
  • 主なスパン:3m×6m
  • 発注者:社会福祉法人青藍会
  • 設計・監理者:アプルデザインワークショップ
  • 設計協力者:MID研究所(構造)、総合設備計画(設備)
  • 施工者:安藤建設(現在の安藤・間)
  • 設計期間:2010年4月~11年7月
  • 施工期間:2011年9月~12年6月
  • 開業・開館日:2012年8月1日
  • 総工費:8億430万円(建築:5億8369万9725円、空調:4920万1950円、衛生:8434万2090円、電気:8097万3270円、機械(EV):608万2965円
  • 木材利用に関する補助金:木のまち整備促進事業1億356万6000円