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大型校舎に流通材を現しで使う

「別棟」ルールで廉価な木材を多用した山鹿小学校

熊本県の山鹿(やまが)小学校は、普通なら耐火建築物にすべき規模でありながら、調達しやすい小断面の一般流通材を「現し」で使っている。別棟解釈で校舎を6つの棟に分け、耐火の規定を回避した。

 2期にわたる建て替え工事が終わり、この4月から山鹿市立山鹿小学校に通う約630人の全児童が、新しい校舎に移った。鉄筋コンクリート(RC)造の旧校舎から一転して、新校舎は木構造を現しにした空間が広がる。普通教室から体育館まで、ほとんどのスペースが、角材を組んだ架構で覆われている。

 体育館のような大空間は、大断面集成材を使うのが一般的だが、ここでは断面が240mm角の無垢材だけで組み上げている。角材同士を、浅い角度で継いだアーチ状の架構で支える仕組みだ(写真4-1)。

写真4-1 240mm角の無垢材で体育館の屋根を支える
幅25.6mの体育館の屋根を支えるのは、240mm角のスギ材を浅い角度で継ぎ足してつくったアーチ構造(写真:松浦 隆幸)
幅25.6mの体育館の屋根を支えるのは、240mm角のスギ材を浅い角度で継ぎ足してつくったアーチ構造(写真:松浦 隆幸)

 同じ仕組みの架構が、普通教室や特別教室などでも見られる。8mスパンの普通教室を覆う架構は、105mm角の小断面で、長さが4mか6mの一般流通材だ(写真4-2)。

写真4-2 105mm角の一般流通材で架構を組む
上:普通教室を覆う架構の原理は、体育館と同じ。ただし、こちらは2つの教室の間仕切り壁から両側に傘状にアーチを広げている。8mのスパンを支えるのは105mm角のスギとヒノキの一般流通材 下:校舎の一部は2階建てで、1階部分はRC造。天井に105mm間隔で無垢材のスギルーバーを張っている(写真:松浦 隆幸)
上:普通教室を覆う架構の原理は、体育館と同じ。ただし、こちらは2つの教室の間仕切り壁から両側に傘状にアーチを広げている。8mのスパンを支えるのは105mm角のスギとヒノキの一般流通材 下:校舎の一部は2階建てで、1階部分はRC造。天井に105mm間隔で無垢材のスギルーバーを張っている(写真:松浦 隆幸)

 「山鹿市はスギの産地なので、地元で調達しやすい一般流通材を、できるだけ多く現しの構造で使い、住宅のようなスケール感の空間にしたかった」。2009年に実施された設計プロポーザルで選ばれたシーラカンスK&H(東京都杉並区)の工藤和美代表は、当初からそう考えていたという。しかし、実現には難題を乗り越える必要があった。