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木造屋根に適した勾配を検討

 「木造の架構を支える屋根の在り方にもかなり気を使った」と、工藤代表は話す。細い部材で支えるため、屋根材には軽量な金属材を選んだ。金属屋根は、雨音が響くので、内側に吸音性の高い断熱材を張っている。

 今回、屋根で最も注力したのは、勾配の見極めだ。通風や冬の日差しを確保するため、全面ガラスの妻面を南北に向け、庇の深い切妻屋根としたが、その勾配の検討には時間を要した。勾配の取り方次第で、妻面の面積や、屋根を支える木造の架構の高さが変わり、建設費に大きく響くためだ。

 勾配が緩いほど建設費は抑えられるが、アーチ状の架構の足元が、上げ下げ式の黒板にぶつかるなど、教室内の使い勝手に支障が出る。また、雨水の流下も遅くなる。ぎりぎりの緩さとして、はじき出したのは10分の2.19という微妙な勾配だ。低層の緩い屋根の連なりは、山鹿市を取り囲む山並みのような景観を生み出している(写真4-3)。

写真4-3 妻入りの金属屋根で雨水処理にも工夫
南から見る。手前の平屋は低学年棟、奥に見えるのは2階建ての高学年棟。コア部分を挟みながら緩勾配の屋根が連なる(写真:松浦 隆幸)
南から見る。手前の平屋は低学年棟、奥に見えるのは2階建ての高学年棟。コア部分を挟みながら緩勾配の屋根が連なる(写真:松浦 隆幸)

 総工費は約24億円。施工単価は27.7万円/m2だった。

山鹿市立山鹿小学校

  • 所在地:熊本県山鹿市山鹿351
  • 主用途:小学校
  • 地域・地区:都市計画区域内用途指定なし、法22条指定区域
  • 建蔽率:22.67%(許容60%)
  • 容積率:29.15%(許容200%)
  • 敷地面積:3万20.70m2
  • 建築面積:6807.39m2
  • 延べ面積:8752.29m2
  • 構造:RC造・一部木造
  • 階数:地下1階・地上2階
  • 基礎・杭:直接基礎(ベタ基礎、布基礎)
  • 最高高さ:11.4m
  • 主なスパン:8×8m
  • 発注者:山鹿市
  • 設計・監理者:工藤和美+堀場弘/シーラカンスK&H
  • 設計協力者:佐藤淳構造設計事務所(構造)、設備計画(設備)、ツキライティングオフィス(照明)、東洋大学藤井研究室(音響)、JTプロジェクト(外構)、GAヤマザキ(植栽)
  • 施工者:光進建設・相互建設工事共同企業体(建築)、昭電社・菊鹿電設建設工事共同企業体(電気)、熊本利水・八代建設工事共同企業体(機械)
  • 設計期間:2009年11月~11年3月
  • 施工期間:2011年10月~13年7月(予定)
  • 総工費(税込み):24億2806万950円(建築:20億3385万円、電気:2億5095万円、機械:1億4326万950円)
  • 木材利用に関する補助金:なし