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守るために「お金と向き合う」

 交付金や補助金を全く使うなとは言わない。しかし、それがストップしたらどうするのか。経済を支える本来のお金の流れをつくっておかなければ、街を守ることはできない。そこで生活を続けたいのであれば、今すぐ取り組みを始めないと間に合わない。

 そのときに、昔の街全体を残そうというのは、もはや無理だ。死守するエリアを決め、「まち会社」をつくり、経営という観点で切り込んでいくしか方法はない。街の魅力を生み出すための資金を自らつくり出す必要がある。

 これが15年間試行錯誤しながらたどり着いた結論だ。海外では珍しい考え方ではなく、日本全国や海外にパートナーを拡充している今、手応えも感じる(図1)。

図1 日本全国で街づくり事業を推進
(写真・資料:エリア・イノベーション・アライアンス)
(写真・資料:エリア・イノベーション・アライアンス)

 我々の取り組みは業務改善などのソフト面から始まったが、最近は不動産運用のためにハード面の課題にも踏み込み、建築関係者との接点が増えている。

 建築を設計する人は「5000万円の予算がある」と聞けば、ビルの建設や改修に全額を使い切る発想になりがちだ。しかし、維持管理や営業販促を含めて運営時にはほかにもお金がかかる。オーナー側にどのぐらいの資金を残しておいたほうがよいのかなど、投資回収にも気遣った仕事が求められている。街を再生するための建築をつくる上では、共通の基盤として「経営」を第一に意識してほしいと考えている。

木下 斉(きのした・ひとし)
エリア・イノベーション・アライアンス(AIA)代表理事、内閣官房地域活性化伝道師
木下 斉(きのした・ひとし) 1982年東京生まれ。高校時代に全国商店街による共同出資会社の初代社長に就任。その経験をもとに経営手法を用いるまちづくりを志し、2009年にエリア・イノベーション・アライアンス設立。欧米・アジア各国との連携や政策提言なども積極的に推進する。新著を日経BP社より発行(写真:エリア・イノベーション・アライアンス)

まちづくり:デッドライン 生きる場所を守り抜くための教科書 著者:木下 斉、広瀬 郁 発行:日経BP社 1995円

新刊 4月8日発行

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生きる場所を守り抜くための教科書

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