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鉄筋比の影響を正しく理解

 鉄筋比がひび割れ幅を支配するメカニズムを理解したところで、鉄筋比とひび割れ幅の具体的な関係を見ていこう。

 一般的な建築物の壁部材を対象にひび割れ幅と本数を計算した結果を示す(図5)。検討の対象は長さ6mの壁でD13による配筋を想定している。同図左はコンクリートの乾燥収縮率を横軸に取り、収縮ひび割れ本数を縦軸に表した。同図右は横軸に同じく乾燥収縮率を取っているが、縦軸にはひび割れ幅を示してある。

図5 鉄筋比が増大でひび割れ本数は増え、幅は小さくなる
ひび割れ幅は、鉄筋比を大きくすることで小さくできる。ただし、鉄筋比を大きくするとひび割れ本数は増加するので注意したい(資料:日本建築学会「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御 設計・施工指針(案)・同解説」より引用)
ひび割れ幅は、鉄筋比を大きくすることで小さくできる。ただし、鉄筋比を大きくするとひび割れ本数は増加するので注意したい(資料:日本建築学会「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御 設計・施工指針(案)・同解説」より引用)

 左図の収縮ひび割れ本数は、乾燥収縮率が大きくなると顕著に増加し、鉄筋比が大きいほど増大する。右図のひび割れ幅は、乾燥収縮率によらずほぼ一定で、鉄筋比が大きいと小さくなる。これらの図で拘束度は一定として計算してあり、拘束変形量は乾燥収縮率が同じであれば同一となる。拘束変形量=平均ひび割れ幅×本数となることを第1回で説明したが、例えば乾燥収縮率800μのとき、図5中の同じ鉄筋比を表す点の値から計算すると、拘束変形量は鉄筋比によらず1mm程度とほぼ一定である。

 図5から読み取れることをまとめると、まず、ひび割れ幅は鉄筋比で制御でき、鉄筋比を大きくすることで幅を小さくできる。また、鉄筋比を大きくするとひび割れ本数は増加する。さらに、コンクリートの乾燥収縮率が大きくなっても幅に与える影響は軽微でひび割れ本数が増える、の3点である。

 これらはひび割れ幅の制御に関わる原則として重要なので覚えておいていただきたい。