PR

短い杭は抵抗力が4割に

 杭の引き抜き抵抗力の算定はまず、地中に埋めた杭の表面積を計算。次に、土質ごとのN値やせん断強さをもとに、杭と地盤との摩擦力を計算する。最後に、両者を乗じて杭全体の抵抗力を求める。

 摩擦力の大きさは、同じ土質でも杭の施工方法によって異なるので注意が必要だ。

 最も大きな摩擦力が得られるのは、場所打ちコンクリート杭。穴を掘削して鉄筋かごを建て込み、現場でコンクリートを打設する。杭と地盤とが密着しやすいので、摩擦力が高い。これに対して、PHC杭のように工場で製作するコンクリート杭や鋼管杭は、表面が滑らかなので、摩擦力がやや劣る。

 事例のマンションを対象に計算すると、当初の設計通りに長さ18mの杭を施工した場合の最大引き抜き抵抗力は、杭1本当たり1770kN(図3)。実際に施工した長さ9mの杭では749kNと、約4割の抵抗力にとどまった。短い杭でも引き抜き抵抗力を高めるための対策として、表面に突起が付いた節杭や、先端が広がった拡底杭などの採用が考えられる。

図3 マンション工事における杭の引き抜き抵抗力の比較
杭の引き抜き抵抗力は、各土質を通る杭の表面積と摩擦力との積で算定する。日本建築学会が「建築基礎構造設計指針」で定めた式を使った。本来はこれに杭の自重が加わる (資料:日経アーキテクチュア)
杭の引き抜き抵抗力は、各土質を通る杭の表面積と摩擦力との積で算定する。日本建築学会が「建築基礎構造設計指針」で定めた式を使った。本来はこれに杭の自重が加わる (資料:日経アーキテクチュア)

この連載は隔号で掲載します