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驚いたS字形の超高層

 ヒルトン東京が入る新宿国際ビルディング(84年竣工)が完成したときには驚いた。平面がS字を描いていたからだ。それからも、立体的に複雑な超高層がどんどん建ち上がった。曲面や立体構造を多面体などで近似して計算する「擬似立体」という手法を用いて単純化して計算していた時代だ。

 解析技術の進歩は加速度的だった。近年、私はグラントウキョウ・ノースタワー(2007年竣工)の構造設計を担当した。墓石形で偏心も大きく、かつ1期、2期工事に分かれる。そんな設計は、80年代には不可能だったのではないか。

 今もコンピューターの技術は革新を続けているが、私はそれを過信してはいけないと思う。計算結果だけを見て判断するような構造設計は、設計ミスに気付きにくい。いずれ事故やトラブルで痛い目を見るのではないか。超高層初期の「複雑なものをなるべく単純に解く」という姿勢を忘れないようにしたい。