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新旧を融合させたアトリウム

 商業施設「KITTE」の内部の目玉は、保存部分と新築部分に囲まれた三角形平面のアトリウムだ(写真2)。白く塗られた保存躯体の切断面が、吹き抜け側に大胆に露出する。鉄骨鉄筋コンクリート造の八角形断面の柱や、梁のハンチ(強度を増すため梁の断面を大きくした部位)など、特徴的な躯体の形状が内部空間に生かされている。

写真2 既存の八角柱や天井を見せる
保存部分を生かしたKITTEの通路。八角形の柱が印象的だ。天井も既存躯体を見せるため、直天井とした。設備配管なども整理されている(写真:山本 育憲)
保存部分を生かしたKITTEの通路。八角形の柱が印象的だ。天井も既存躯体を見せるため、直天井とした。設備配管なども整理されている(写真:山本 育憲)

 商業共用部の内装デザインを担当した隈研吾氏は、「吉田鉄郎の“線のモダニズム”を意識して、元の躯体と呼応するようにデザインした。保存部分と新築部分を無理に対比させるのではなく、共通のモチーフなどを用いて融合させた。新しい要素は透明性を持たせたり、単位を小さくすることでなじませた」と話す。

 保存部と吹き抜けを介して向き合う新築部の手すり壁は、ガラスに10mm幅の鏡面の縦線をランダムに印刷し、保存部に対して虚像のように見えるようにした。吹き抜け部分で既存の柱があった位置には、天井からステンレスのチェーンを吊り下げ、床に八角形の模様を描いて、かつての柱を想起させる手掛かりとした。