PR

床の打ち増しは構造に影響

 まず、目地を設置できない理由から述べる。

 壁部材では、壁厚を打ち増して、その分を欠き込み目地とするのが一般的である。ひび割れを目地だけに集中させれば、効果的に不具合を防止できる。

 ところが、床スラブでは表面積が大きいため、壁と同様に「打ち増し+目地」の手法を取ると、建物重量が大幅に増大し構造性能への影響が大きい。図2に、有効床断面厚さが200mmの床スラブを例示した。断面欠損率を20%確保するには、深さ50mmの目地を設置し、同じ厚さ分のコンクリートの打ち増しが必要となる。単純計算すると、打ち増しによって固定荷重が5~15%増加する。これは、構造設計の見直しが必要になる増加量である。

図2 床に目地を設けると固定荷重が1割増
壁部材と異なり、床スラブの打ち増しは、構造設計にも影響を与えるほどの大幅な固定荷重の増大を招く。そのような施工措置を、施工者の判断で行うことはできない(資料:閑田 徹志)
壁部材と異なり、床スラブの打ち増しは、構造設計にも影響を与えるほどの大幅な固定荷重の増大を招く。そのような施工措置を、施工者の判断で行うことはできない(資料:閑田 徹志)

 一般に、部材断面の打ち増しと目地の設置は、設計段階ではなく施工段階で決定する。しかし、構造性能に影響を与えるような施工を、設計変更なしで採用することはできない。施工者の勝手な判断で、床スラブに目地を設置することは通常できないのである。