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先端技術のショールーム

オーク表参道には大林組の開発した先進技術が盛りだくさんだ。外装を利用した制振技術、環境配慮型のコンクリート、これらの検討時に活躍したBIMの取り組みを紹介する。(宮沢 洋、岡本 藍)

フラマスダンパーシステム
制振の重りが「環境装置」にも

 大林組が2011年に開発した「フラマスダンパーシステム(HMS)」と呼ぶ制振技術を、北面以外の3面に採用した。

 外装材などを高減衰ゴムで建物の外周に取り付け、重りとして揺れを打ち消すシステムだ。建物が揺れると外装部が水平方向に動き、高減衰ゴムが振動を熱に変換して地震力を吸収する。設置しない場合と比べて、震度6強の地震による揺れを2~3割低減するという。

 東西面は平鋼のフレームを、南面はコンクリートフレームをそれぞれ重りとした。東西面は壁と平鋼のフレームの間を排気スペースとして利用する(図1)。

図1 壁と外装を高減衰ゴムでつなぐ
HMSの構成。南面は環境配慮型ファサードとし、壁面緑化パネルや太陽電池パネルを取り付けた(資料:大林組)
HMSの構成。南面は環境配慮型ファサードとし、壁面緑化パネルや太陽電池パネルを取り付けた(資料:大林組)

 さらに南面は環境機能を付加した。コンクリートフレームに太陽電池パネルや緑化パネルを取り付けた。フレームの重さは3面の合計で約500t。通常はマイナスに作用する重量が、ここでは重りとしてプラスに働く。

 HMSは後付けが可能だ。改修工事で設置する際に、建物の外周だけで工事を完了できる。大林組は耐震改修に加え、エコ改修での利用を見込む(写真6、写真7)。

写真6 視界を遮らない制振
オフィス内部から見る。高減衰ゴムはフレームに隠れて外側からは見えない。壁とフレームの間は排気スペースとして利用する(写真:日経アーキテクチュア)
オフィス内部から見る。高減衰ゴムはフレームに隠れて外側からは見えない。壁とフレームの間は排気スペースとして利用する(写真:日経アーキテクチュア)
写真7 壁面緑化パネルのある外壁
住宅地と小規模店舗のある南西側から見た外観。南面(写真右)はコンクリートフレームに緑化パネルや太陽電池パネルを取り付けている(写真:日経アーキテクチュア)
住宅地と小規模店舗のある南西側から見た外観。南面(写真右)はコンクリートフレームに緑化パネルや太陽電池パネルを取り付けている(写真:日経アーキテクチュア)

クリーンクリート
低CO2コンクリートを建築躯体で初採用

 2010年に大林組が開発した「クリーンクリート」を地下躯体に使用した(写真8)。クリーンクリートはセメントの一部を高炉スラグ微粉末やフライアッシュに置き換え、CO2排出量を削減したもの。高炉スラグ微粉末は鉄鋼製造過程、フライアッシュは石炭火力発電所で発生する副産物だ。

写真8 ポンプ圧送が可能
クリーンクリートの打設の様子。通常のコンクリートと同様、ポンプ圧送が可能。この現場では、BIMを活用してコンクリート圧送管の設置箇所を事前検討した(写真:日経アーキテクチュア)
クリーンクリートの打設の様子。通常のコンクリートと同様、ポンプ圧送が可能。この現場では、BIMを活用してコンクリート圧送管の設置箇所を事前検討した(写真:日経アーキテクチュア)

 コンクリートの7割程度は骨材(砂利や砕石)が占めるが、CO2排出量はセメント部分の方が大きい。大林組の資料によると、CO2の原単位は砕石が2.8kg-CO2/tであるのに対し、普通ポルトランドセメントは757.9kg-CO2/tと圧倒的に大きい。セメントの一部を高炉スラグ微粉末(24.1kg-CO2/t)やフライアッシュ(17.9kg-CO2/t)で代替することにより、一般的なコンクリートの2割程度までCO2排出量を減らすことができる(設計基準強度36N/mm2の場合、図2)。

図2 CO2排出量が8割減
一般的なコンクリートのCO2排出量は260kg/m3だが、クリーンクリートでは50kg/m3で下げられる(資料:大林組の資料をもとに作成)
一般的なコンクリートのCO2排出量は260kg/m3だが、クリーンクリートでは50kg/m3で下げられる(資料:大林組の資料をもとに作成)

 クリーンクリートを建築躯体に使ったのはオーク表参道が初めて。地下躯体(基礎梁や柱、壁、床スラブなど)に4906.3m3を使用した。

 クリーンクリートは低CO2のほか、打設後の発熱量が少ないという長所もある。ひび割れが少なく、耐久性が向上する。オーク表参道で地下躯体に使ったのは、そうした特性を生かすためでもある。大林組によると、「高炉スラグ微粉末の供給と生コンプラントのサイロの確保が課題」だが、コストは「一般のコンクリートと同等」という。

 なお、セメントを産業副産物に置き換える取り組みは、他社でも進んでいる。

設計段階からのBIM
設計から施工までフル活用

 設計から施工までBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を取り入れた。大林組が設計・施工一貫案件でBIMをフル活用したのはこのプロジェクトが初めてだ。

 主に、設備と躯体とのぶつかりをチェックするのに利用した(図3)。また、実施例がないHMSの施工用詳細モデルを作成し、関係者の理解を深めるのにも役立った。

図3 3次元モデルで不具合を確認
干渉チェックで利用したBIMの画面。不具合があれば、自動的に表示される(資料:大林組)
干渉チェックで利用したBIMの画面。不具合があれば、自動的に表示される(資料:大林組)

 施工段階もBIMを使ったが、施工レベルの図面作成には紙が必要で情報の一元化には課題も残った。