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 消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調、畑村洋太郎委員長)は6月21日、2009年に東京都港区で発生したエスカレーター転落死亡事故について評価書を公表した。国土交通省の事故調査を評価した結果、消費者安全の視点からさらなる検証が必要だとして、独自に再調査することを決めた。消費者事故調が評価結果をまとめたのは、12年10月の発足後初めて。

 調査対象となった事故は09年4月に、汐留シティセンターで発生した。2階の商業施設部分の吹き抜けに面したエスカレーターで、45歳の男性会社員が背中側から手すりに乗り上げ、バランスを崩して9m下の1階床に転落して死亡した(図1、図2)。

図1 吹き抜けから9m下に転落
事故発生の概要。建築時、事故機は上昇運転で計画されたが、竣工後、テナントの要望で下降運転に変更されていた(資料:消費者安全調査委員会)
事故発生の概要。建築時、事故機は上昇運転で計画されたが、竣工後、テナントの要望で下降運転に変更されていた(資料:消費者安全調査委員会)

図2 背中から乗り上げてバランス崩す
事故機の手すり折り返し部(ニュアル部)。吹き抜けに面する転落防止柵から通路側に46cm突き出て設置されており、誘導柵などはなかった(資料:消費者安全調査委員会)
事故機の手すり折り返し部(ニュアル部)。吹き抜けに面する転落防止柵から通路側に46cm突き出て設置されており、誘導柵などはなかった(資料:消費者安全調査委員会)

 国交省の昇降機等事故調査部会は12年4月、「昇降機などの構造、維持保全または運行管理に起因した事故と判断する理由がない」とする調査結果を公表していた。