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提案を引き出す発注の工夫

 発注方式の違いは、建物のアウトプットにも影響を及ぼす〔図2〕。

〔図2〕発注方式が変わればアウトプットも変わる
設計・施工分離方式では発注図書の通りに、設計・施工一括方式は大まかな条件で建設会社に一任する。性能発注を導入することで、設計者や施工者の工夫を引き出せる(イラスト:ポム企画)
設計・施工分離方式では発注図書の通りに、設計・施工一括方式は大まかな条件で建設会社に一任する。性能発注を導入することで、設計者や施工者の工夫を引き出せる(イラスト:ポム企画)

 設計・施工分離方式は、いわば設計事務所が用意した緻密なレシピ通りに建物をつくる手法だ。仕様通りの施工が要求される建設会社にとっては、提案の余地が少ないなかでコストやスケジュールの調整が厳しく求められることになる。一方、従来型の設計・施工一括方式は注文が大まかで、建物の形状やプロセスの選択の多くは建設会社任せになる。品質やコスト、スケジュールのチェック機能が働きにくい場合もある。

 性能発注型の場合は、まず発注者がどんなものが欲しいのか、きめ細かく与件を整理する。設計者や施工者の提案や工夫が盛り込まれ、かつ発注者のイメージからぶれないものが出来上がりやすい。

 技術力や創造的な提案を引き出すために我々がよく行うのは、細かいプランや構造、工法などは指定せず、要求性能だけを設定することだ。例えばプランについては、必要諸室の関係性だけを決めておく。発注者のニーズを大きく外した提案が出てこない境界を見極めて、最低限の守るべき枠組みをつくり、残りは設計者や施工者の提案に任せる。このさじ加減が、性能発注の肝とも言える。

 その一方で、各種工事の境界は明確に線引きしておく。例えば外構やネットワークの設備、セキュリティー系の設備やブラインドの取り付けなども建築工事に含めるのか、別途工事なのか、あらかじめ明確にしておく。金額の負担を巡るトラブルを防ぐためだ。