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勝負は敷地模型から

 各住戸を設計する過程でも、西田氏はそれぞれ50分の1模型を作成した。全住戸の設計がほぼ固まった13年4月に開かれた懇親会では、西田氏が模型を使って、集まった参加者に計画の全貌を披露した。全住戸の模型を見せた後、これを1つの建物に積み上げていくパフォーマンスに、参加者は大いに盛り上がった。

 アーキネットの松島プロデューサーも模型に心を動かされた1人だ。といっても、建物の模型ではない。最初の設計打ち合わせの際、西田氏は石畳や既存樹木を丁寧につくり込んだ敷地模型を用意してきた。「周囲との関係をいかに生かしていくかが肝となる計画にあって、ここまで丁寧に読み込み、真摯に取り組んでくれたのか」と松島プロデューサーは感激し、計画実現への決意を固めたという。

 細部まで手をかけた模型は、「楽しそう」、「ここまでしてくれるのか」という気持ちを受け手の心に呼び起こした。リアルさがもたらす説得力は、CG全盛の時代だからこそ、関係者の意識を1つにまとめる求心力を備えている。