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最近の超高層ビルは、単一用途で構成されることは少ない。「あべのハルカス」も百貨店、駅、オフィス、ホテルなど高度な複合を求められた。設計者は、各事業者との徹底した議論によって、ユニークな形態を生み出した。

 「機能的な案にまとまった」。半年の議論を経て設計者が提示した現在案を見たとき、近畿日本鉄道の中之坊健介あべのハルカス事業本部事業部長は成功への手応えを感じた。

 「あべのハルカス」〔写真1〕は、段状にセットバックした形態に、一部が外部空間となるトラス階を挿入した超高層ビルだ。凹凸の多い建物の造形を、発注者は「機能的」と受け止めた。そこに至る過程では、相反する要望を抱えた事業者たちを調整しながら合意を得る、設計者のプレゼンテーションの積み重ねがあった。

〔写真1〕セットバックしつつ機能を積層
左上:北西から見たあべのハルカス(写真:日経アーキテクチュア) 中央:検討開始から半年間の議論の末、2007年3月に施設構成がほぼ固まった時点のボリューム模型。トラスフロアを介して、百貨店、オフィス、ホテルなどを積み重ねた。計画は、既存百貨店と鉄道駅の増築に当たる(写真・資料:竹中工務店)
左上:北西から見たあべのハルカス(写真:日経アーキテクチュア) 中央:検討開始から半年間の議論の末、2007年3月に施設構成がほぼ固まった時点のボリューム模型。トラスフロアを介して、百貨店、オフィス、ホテルなどを積み重ねた。計画は、既存百貨店と鉄道駅の増築に当たる(写真・資料:竹中工務店)

 設計を統括したのは竹中工務店の原田哲夫・大阪本店設計部設計第6部長だ。「早く進めようとして議論をショートカットすると、どこかで必ず綻びが生じる。ゴールに至る道筋を確認しながらすべての関係者が納得できる方向を探っていくうちに、『これはいい』と皆が感じる案にたどり着く」。そう肝に銘じて複雑なプロジェクトに取り組んだ。